量子物理学の発見―ヒッグス粒子の先までの物語

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量子物理学の発見―ヒッグス粒子の先までの物語

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  • サイズ B6判/ページ数 312p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163905235
  • NDC分類 421.3
  • Cコード C0098

出版社内容情報

極小の単位を追い求める挑戦は、そのまま宇宙の始まりの謎を解明する旅になる。質量の誕生。星の誕生。壮大な発見の物語。ギリシャ以来、物質の最小の構成単位への人類の探求は、

原子核とそれをまわる電子というモデルまでいきつく。

しかし、1912年のある日、

物理学者のニールス・ボーアは気がつく。

なぜ、電子は原子核に墜落しないのか?

まったく新しい物理学が誕生した瞬間だった。

人類の極小を探る旅は、加速器というものさしを得て進歩する。

それは宇宙の始まりを解き明かす旅になった。

アメリカのフェルミ研究所で加速器を使い、

極小の世界を追い求めたノーベル賞物理学者が、

この新しい物理学の誕生から現在そして未来を綴る



第一章 宇宙の始まりを探る旅

2012年に世界の新聞の一面を飾った「ヒッグス粒子」の発見。本書では、その発見にいたるまでの人類の歴史を、ノーベル賞量子物理学者が綴る。それは、この世界の極小の構成単位を探る旅でもあり、同時に宇宙の始まりを探る旅でもあった。



第二章 その時、ニュートン物理学は崩れた

ギリシャ以来、物質の最小の構成単位への人類の探求は、原子核とそれをまわる電子というモデルまでいきつく。しかし、1912年のある日、物理学者のニールス・ボーアは気がつく。なぜ、電子は原子核に墜落しないのか? 全く新しい物理学の誕生。



第三章 世界は右巻きか左巻きか

水の分子を鏡に写しても左右対称で変わらない。しかし、変わってしまう分子もある。例えば、われわれの世界の食べ物は右旋体の糖でできている。さてでは物理法則はどうだろうか? その対称性が破れていることを発見したのがこの本の著者だった。



第四章 相対性理論の 合法的な抜け道

エネルギーは光速の自乗にそのものの質量をかけたものに等しい。E=mc?。アインシュタインは、物質の質量はエネルギーに転換できることを示した。しかし、光に質量はないはずだ。とすれば、光はエネルギーに転換できないのか?



第五章 初めに質量あれ

宇宙が始まった時、すべてのものは無であり、質量はなかった。完全な対称性がなりたつ世界だった。その対称性が崩れ去る引き金をひいたものがいる。それが「ヒッグス粒子」だ。「ヒッグス粒子」が質量を生み出し、宇宙を生み出すことになった。



第六章 何もないところになぜ何かが生まれたのか?

ではどのようにして何もないところからヒッグス粒子が生まれ質量が生まれるのか?

10の マイナス25乗の非常に短い時間では不変と思われたエネルギー保存則がなりたたない瞬間がある。その「量子ゆらぎ」とよばれる時間のことから説明しよう。



第七章 星が生まれた痕跡

宇宙誕生時にできた原子星の内部で、炭素、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、鉄などの重い元素がつくられる。しかし、これらの元素があまねく宇宙に行き渡るためには、崩壊による解放が必要だ。その痕跡がいまもふりそそぐ「ニュートリノ」という粒子だ。





第八章 加速器は語る

著者らのフェルミ研究所は、標準理論のその先を探索する新加速器「プロジェクトX」を進めている。それは高エネルギー追求から転換してコストは抑え、膨大な数の粒子を観測して珍しい現象を探す新たなアプローチだ。



第九章 ヒッグス粒子を超えて

量子物理学はまだ道半ばだ。ヒッグス粒子は物質に質量を与えるが、それ自身の質量がどこから来るかはわかっていない。宇宙のほとんどを占める暗黒物質も検出できていない。未知の物理現象を求める実験は続く。

レオン・レーダーマン[レオン レーダーマン]

クリストファー・ヒル[クリストファー ヒル]

青木 薫[アオキ カオル]

内容説明

宇宙が始まる前、すべてのものは無であり、質量はなかった。その質量を生み出したのが「ヒッグス粒子」だ。宇宙誕生時にできた原始星の内部で、炭素、窒素、硫黄、ケイ素、鉄などの重い元素がつくられる。しかし、これらの元素があまねく宇宙に行き渡るためには崩壊による解放が必要だ。その痕跡がいまもふりそそぐ「ニュートリノ」という粒子だ。極小の粒子を探る量子物理学、宇宙の始まりを解き明かしつつある。

目次

第1章 宇宙の始まりを探る旅
第2章 そのとき、ニュートン物理学は崩れた
第3章 世界は右巻きか左巻きか
第4章 相対性理論の合法的な抜け道
第5章 初めに質量あれ
第6章 何もないところになぜ何かが生まれたのか?
第7章 星が生まれた痕跡
第8章 加速器は語る
第9章 ヒッグス粒子を超えて

著者等紹介

レーダーマン,レオン[レーダーマン,レオン] [Lederman,Leon M.]
1922年、アメリカ生まれ。実験物理学者。ミューニュートリノの発見でレプトンの二重構造を実証し、1988年ノーベル物理学賞。1979年から1989年までフェルミ国立加速器研究所の所長を務め、半世紀にわたり、加速器実験によるアメリカの素粒子物理学を主導してきた。コロンビア大学教授、イリノイ工科大学教授などを歴任し、2012年に引退

ヒル,クリストファー[ヒル,クリストファー] [Hill,Christopher T.]
1951年、アメリカ生まれ。理論物理学者。シカゴ大学、オックスフォード大学客員研究員などを経て、フェルミ国立加速器研究所理論物理学部長を2012年まで務める

青木薫[アオキカオル]
翻訳家。1956年、山形県生まれ。京都大学理学部卒業、同大大学院博士課程修了。理学博士。2007年度日本数学会出版賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

修一朗

66
青木薫さん本がすっかりお気に入りになったのでこれを。これは実験物理学者レオン・レーダーマンの素粒子物理の本だ。クォークとかミューオンとか断片的に聞きかじっていた素粒子を一覧表で見たのは初めてだ。素粒子ってこんなに複雑なのかぁ,とても一読で理解できませんわ。対称性(L/Rカイラリティ)に話が及ぶともうついていけず,飛ばし読み。まずは質量がないのに運動量を持ちエネルギーを持つ,という光子の振る舞いを理解するのが素粒子物理の第一歩,ということは分かりました。こっちを先読んでしまった。次,「宇宙創成」へ。。2019/06/04

tom

18
2回読む。1回目は途中で眠る。2回目は、目を開き、半ば過ぎまで快調に読み続ける。でも、スピン問題が出てきたあたりから理解が追い付かなくなり、ゲージ対称性が出てきてからはワケワカメノコンコンチキ。この本はヒッグス粒子の解説を目的にしたもの。ヒッグス粒子が作るヒッグス場は空間を満たしていて、そのことが素粒子に質量を与えていると書いているみたい。だから真空にはエネルギーがあふれている・・・らしい。訳わからぬ。でもまあ、そういうことらしい。ちゃんと理解できたら、楽しいだろうなあとは思う。2024/05/16

みんく

16
市民大学講座の予習のために。外国人研究者の日本語訳本で、読む前はどこまで理解できるか不安だったが、要所要所の図説がとても親切だったし、訳者の青木薫さんのおかげもあるのかも。知識ゼロから読み始めたわりに、たくさんのことが勉強になったし、なにより最後までおもしろく読めた!しかし理解度は半分ほどか。ヒッグス粒子が必要性はわかったけれど、「ヒッグス粒子と質量との関係」は理解できず・・・。「弱い力」と「弱荷」「パリティの破れ」「ゲージ対称性」この辺のさらなる理解が必要。『対称性ー』『「標準模型」の宇宙』読まなきゃ。2023/09/10

宇宙

16
ニュートリノに、ニューオン、グルーオン。クォークにヒッグス機構。読んでわかったつもりになっても後ですぐごっちゃになってしまう。そういうところが本書はよく整理されている。新しい本で、最近の話題に強い本。2019/11/20

kthyk

11
レーダーマンは理論家というより実験家、アメリカのフェルミ国立加速器研究所の二代目所長。量子というより素粒子物理学の重鎮だ。従って、今まで数多く読んできた量子物理学の理論家とは異なり、その内容は見えない世界を数学で捉えようするより、超現実的。望遠鏡ではなく最強の「顕微鏡」により素粒子の実体を捉え、最新の科学技術を生みだそうとするトップランナーだ。クリーンエネルギーや放射性廃棄物を出さずの発電、あるいは従来の廃棄物処理テクノロジーを目指すプロジェクトXの推進。フイッグス場、ニュートリノ、ミュー粒子解説は圧巻。2024/03/08

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