出版社内容情報
ある秋の日、ひとりの男の通夜に集った親類たち。それぞれが故人を思う中で、広がりゆく複数の時間と記憶を豊かに描き出す。
秋のある日、大往生を遂げた男の通夜に親類たちが集った。
子ども、孫、ひ孫たち30人あまり。
一人ひとりが死に思いをめぐらせ、互いを思い、家族の記憶が広がってゆく。
生の断片が重なり合って永遠の時間がたちがある奇跡の一夜。
第154回芥川賞受賞作。
内容説明
秋のある日、大往生を遂げた男の通夜に親類たちが集った。子ども、孫、ひ孫たち30人あまり。一人ひとりが死に思いをはせ、互いを思い、家族の記憶が広がっていく。生の断片が重なり合って永遠の時間が立ち上がる奇跡の一夜。第154回芥川賞受賞。
著者等紹介
滝口悠生[タキグチユウショウ]
1982年東京都生まれ。埼玉県育ち。2011年「楽器」で第43回新潮新人賞受賞。14年『寝相』で第36回野間文芸新人賞候補。15年『愛と人生』で第28回三島由紀夫賞候補、第37回野間文芸新人賞受賞。同年「ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス」で第153回芥川賞候補に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
538
お通夜に集まった親族たちを描く。故人から見れば、子、孫、曾孫の3世代が一堂に会するのだが、登場人物は親族だけで23人(ただし、この内の3人はこの場に参集していない)、そして故人の友人とおぼしき、はっちゃんもいる(ざっと数えたので正確かどうかは不明)。通夜の一晩を通して、彼らの内なる人間像が浮かび上がる、という訳ではない。いくぶんかの内幕は明らかになるものの、実に淡々と描かれる。視点人物が目まぐるしく変わるのも本編の特徴。お通夜であるにもかかわらず、全体としては和気藹々モード。日本の親族社会の日常の風景だ。2016/02/05
遥かなる想い
351
2015年度下期芥川賞受賞。奇妙なことだが 高齢化社会にふさわしい題材であると思う。 お痛夜に集まった多くの親族が亡くなった者に 想いを巡らす..家族の記憶..誰もが持つその 感情を著者は静やかに描く。普段なかなか 会えない親族が一堂に会して故人を偲ぶ場が これから増えてくるのだろうか。 特に物語としての展開もなく、ただ思い出だけ が綴られていく、そんな本だった。2016/04/09
starbro
288
本作で今回の芥川賞・直木賞受賞作、コンプリート。滝口悠生、初読です。いかにも芥川賞っぽい作品ですが、新鮮味や若さ、キラリとしたものが感じられない20世紀の物語という感じです。現代ではこんなに孫や曾孫が多い大家族も稀有だと思います。テレサ・テンの登場も必然性があるのかなぁ。本谷有希子の「異類婚姻譚」単独受賞で良かったのではないでしょうか?少なくとも3作品の中では一番売れないと断言できます!2016/02/21
ナイスネイチャ
227
図書館本。故人の5人の子供とその孫10人が葬式に集い、まさに死んでいない者たちが淡々と生活している様を描いていた。葬儀が終わればそれぞれの過去に触れることもなく、それぞれの人生を生きていく。視点が変わっていたが、故人からの視点では?と思う所もしばしば。登場人物がかなり多かったが、結局故人の名前が出てこなかったのも、主人公は故人?と思わせる内容でした。2016/03/22
優希
131
文藝春秋で読みました。お葬式で感じる個人個人の心境が描かれていて興味深かったです。お通夜に集う死んでない者たち、故人となって死んでない者たちという両方の意味に取れるタイトルも秀逸。誰かが亡くなったとき、残された者の記憶に残っているもの以上に忘れていったものの方がどれだけ重みを感じるか考えさせられました。淡々と描いている物語の中に死を考えるという重いテーマが込められていると感じます。2016/04/02
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