出版社内容情報
可愛かったあの子が、「死ね」と豹変する反抗期。この10年で進んだ10代の脳の最新研究が、思春期への接し方を変える。
これまでは甘えてきて天使のようだった子どもが、豹変する思春期。
暴言を吐き、タバコや酒に手を出し、信じられないような衝動的なことをしてケガをしたりする。
子どもに「ウザい」「死ね」と言われて、自分の子育てや人生は何だったのかと途方にくれ、何が間違っていたのか、と自分を責める。そんな苦しい思いをしている方も多いだろう。
それは育児が間違っていたからではなく、子どもの脳が成長するなかでの必然だとしたら?
実は、脳研究では乳幼児と高齢者ばかりが取り上げられ、10代はあまり研究されてこなかった。小学校に入るころには脳は完成する、と科学者も思いこんでいた。
しかしこの10年、10代の脳の研究が大きく進み、その時期にはまだ脳はまったくできあがっていないとわかってきた。それが、思春期特有の数々の問題の大きな原因だったのだ。
だが、このことは一般にはまだほとんど知られていない。
著者ジェンセン博士は、小児科医・脳科学者であり、自身もシングルマザーとしてふたりの男児を育て、思春期を乗り越えてきた。
科学者と親の両方の立場から、10代の脳の新たな知識を伝え、それに基づいて思春期の育児に悩む親にアドバイスするために書かれたのが、本書だ。
・脳は30歳ころまで完成しない
・10代は脳が新しいことを覚える学習能力の黄金期
・しかし感情を司る部分や、リスクを推し量り行動をコントロールする部分は未成熟
・フル回転する脳を制御しきれないために、キレやすい、中毒になりやすい、がまんがきかない、といった特有の問題が起きる
こうしたことを知った上で、具体的にどう子どもに接したらいいのかを、ジェンセン博士が真摯にアドバイスする。ひとりでも多くの悩める親に、ぜひ手に取ってほしい。
日本版では、専門機関へ行くべき問題行動と、親が対処できる行動について、40年以上にわたり、毎年数千人の子どもを診てきた元慶應大学病院小児科の児童精神科医、渡辺久子先生が解説を特別寄稿する。
[目次]
序 文 悪いのは親でも子どもでもない
可愛かった我が子が突如別人のようになる反抗期。脳科学を学び、
小児病院とハーバードで医師として働いていたわたしの息子たちも
同じだった。それは子育ての問題? いいえ、原因は「脳」にある
第1章 ホルモンのせいなのか?
子どもでもおとなでもない10代の激しい変化の原因によく挙げられ
るホルモン。けれどこれから紹介するようにこの10年で思春期の脳
の研究は飛躍的に進み、それは脳の変革のごく一部とわかってきた
第2章 10代の脳は未完成
昔は10代で脳は完成すると思われていた。だが実は、10代の脳は判
断・知性を担う「前頭葉」や感情を担う「扁桃体」がまだ未熟。こ
うした近年の知識をもとに、思春期にどう向き合うか考えていこう
第3章 若い脳細胞は連絡不足
青年期の脳がすぐパニックになるのは解剖学的な理由がある。それ
は脳細胞「ニューロン」のつながりが、20代でも完成しないから。
わたしが母として出会った数々の思春期の事件は、そのいい例だ
第4章 IQも変化させる脳の黄金期
脳は環境で変化する。反抗期も親のせいではなく、脳が特別な成長
段階だから。IQさえ変わる猛烈な学習能力と、制御不能の大混乱
をあわせ持つ脳を親が導く方法を、科学者・母としてお伝えしよう
第5章 寝る脳は育つ
思春期の「宵っ張りの朝寝坊」の科学的理由とは。徹夜勉強より、
寝不足解消や、始業時間を遅らす方が成績が上がること、寝不足の
意外な害も発見された。子どもの睡眠のために親ができることは?
第6章 反抗期の脳はそれを我慢できない
危険運転、ドラッグ、セックス。なぜ若者は少し考えればバカらし
いとわかる衝動に負けて、無鉄砲なことをするのか。若い脳は快楽
中枢が過敏で、リスクを顧みず目先のごほうびを選んでしまうのだ
第7章 タバコ1本、中毒のもと
10代の喫煙の害は肺がんだけではない。若く過敏な脳はタバコ1本
で中毒が始まり、IQ低下やアルコール依存にもつながる。まず親
がこうした新しい知識を知ろう。そして子どもに伝え、助言しよう
第8章 10代の酒は百害の長
全米の10代の1000万人以上に飲酒経験がある。若い脳は二日酔
いに強いように見えるが、本当は脆弱で少しの酒でもダメージを受
け、記憶力が低下する。その危険を訴え、飲酒を防げるのは親だけ
第9章 大麻「ダメ、ゼッタイ」の科学的理由
大麻の影響は大したことがないという根強い説の間違いが証明され
つつある。特に10代の使用者の脳には、記憶障害、IQ低下、精神
疾患の危険まであるという。科学から目を背けず、子どもを守ろう
第10章 危険ドラッグが危険なゆえん
MDMA、コカイン、スピード……日本でも規制をかいくぐり、流
行する危険ドラッグ。若い脳はおとなよりも速く、強く中毒になり、
死に至ることさえある。親が薬物乱用の兆候に気づくためには?
第11章 脳をかき乱すストレスに要注意
子どもの感情の爆発はどこまで正常でどこから問題か? 脳の記憶
を担う海馬や感情を担う扁桃体には、ストレスやトラウマが大きく
影響する。このダメージからの回復には、やはり親の存在が重要
第12章 精神疾患の危険信号
不安障害、抑鬱、統合失調症。精神疾患は10代での発症が多い。原
因の一つは感情を司る扁桃体。普通の気分の揺れと精神疾患の危険
信号を見分けるには、親が知識をもって子どもを見守る必要がある
第13章 デジタル中毒の脳内汚染
24時間デジタル機器を使わない実験に参加した若者の感想は恐ろし
いものだった。それだけではない。ゲーム中毒者の脳を検査すると、
萎縮、つながりの不足など、薬物中毒との共通点が見つかるという
第14章 「女子脳」「男子脳」の神話と事実
青年期の脳には、構造や機能の男女差が確かに存在する。でも注意
力散漫な男子、数学が苦手な女子、と決めつけて、おとながその将
来を限定するのは誤り。教育にも性差をうまく反映すればいいのだ
第15章 スポーツでの脳震盪は侮れない
健康のためのスポーツにも脳にとっての落とし穴が。サッカー、ア
メフト……接触プレーで頭に衝撃を受けると、軽症に見えても想像
以上に危険な脳震盪が起き、脳細胞が損傷して後遺症につながる
第16章 未成年の罪と罰
青年期の脳はおとなと違う。では犯罪への罰も違うべきでは? 未
成年犯罪者に苛酷な量刑を科す唯一の先進国アメリカで、わたしが
科学者として法廷に助言書を出し、法が見直された経緯を語る
第17章 青年期を越えても、成長は終わらない
大学を出て20代になっても脳の成長は続く。その時期の研究は始ま
ったばかり。彼らの学習能力がピークなのかさらに伸びていくのか、
答えはまだ出ない。親がすべきこと、それは注意深く見守ること
解 説 親が対応できる問題、専門機関に相談すべき問題
(元慶應大学病院小児科 渡辺久子)
内容説明
この10年で飛躍的に進んだ10代の脳の研究。脳が完全に成長するには30歳までかかる。成長過程ゆえに様々な問題と利点がある。そのことを上手に知って子どもと接しよう。脳科学の最先端から、女医がアドバイス。
目次
序章 悪いのは親でも子どもでもない
ホルモンのせいなのか?
10代の脳は未完成
若い脳細胞は連絡不足
IQも変化させる脳の黄金期
寝る脳は育つ
反抗期の脳はそれを我慢できない
タバコ1本、中毒のもと
10代の酒は百害の長
大麻「ダメ、ゼッタイ」の科学的理由
危険ドラッグが危険なゆえん
脳をかき乱すストレスに要注意
精神疾患の危険信号
デジタル中毒の脳内汚染
「女子脳」「男子脳」の神話と事実
スポーツでの脳震盪は侮れない
未成年の罪と罰
青年期を越えても、成長は終わらない
著者等紹介
ジェンセン,フランシス[ジェンセン,フランシス] [Jensen,Frances E.]
博士。ペンシルベニア大学メディカルスクール教授、神経学科長。脳の発達の研究が専門で、ハーバード・メディカルスクールの神経学教授を務め、ボストン小児病院などで小児科医として多くの子どもを診察。自らもシングルマザーとしてアンドリューとウィルというふたりの男児を育て、嵐のような10代を経験した。多くの講演会を開き、TEDMEDトーク(世界的講演会TEDの健康・医療版)などにも登場している
渡辺久子[ワタナベヒサコ]
児童精神科医。1948年、東京都生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。同大学小児科助手、精神科助手、横浜市民病院神経科医長を経て、ロンドンに留学し、精神分析と乳幼児精神医学を学ぶ。1993年から2014年まで、慶應義塾大学医学部小児科常勤講師、外来医長。現在は渡邊醫院副院長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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