出版社内容情報
「旅先で何もかもがうまく行ったら、それは旅行じゃない」
村上春樹、待望の紀行文集。
アメリカ各地、荒涼たるアイスランド、かつて住んだギリシャの島々を再訪、長編小説の舞台フィンランド、信心深い国ラオス、どこまでも美しいトスカナ地方、そしてなぜか熊本。旅というものの稀有な魅力を書き尽くす。カラー写真多数を収録。
内容説明
『ノルウェイの森』を書いたギリシャの島再訪、フィンランド、トスカナ、熊本など…。旅先で何もかもがうまく行ったら、それは旅行じゃない。
目次
チャールズ河畔の小径―ボストン1
緑の苔と温泉のあるところ―アイスランド
おいしいものが食べたい―オレゴン州ポートランド・メイン州ポートランド
懐かしいふたつの島で―ミコノス島・スペッツェス島
もしタイムマシーンがあったなら―ニューヨークのジャズ・クラブ
シベリウスとカウリスマキを訪ねて―フィンランド
大いなるメコン川の畔で―ルアンプラバン(ラオス)
野球と鯨とドーナッツ―ボストン2
白い道と赤いワイン―トスカナ(イタリア)
漱石からくまモンまで―熊本県(日本)
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
569
村上春樹氏の紀行文は『東京するめクラブ』以来か。だとすれば、11年ぶりということになる。もっとも、本書には1995年11月の「チャールズ河畔の小径」から2015年9月の「漱石からくまモンまで」と20年間のスパンを持つ、10の紀行が収録されている。スタイルは、ここでも十分にこなれた春樹調。ゆったりとしたリズムが全篇を貫流する。この人くらいお金と時間に余裕があれば、しかもいつまでも衰えることのない新鮮な好奇心と文才があれば、と痛切に思う。どれをとっても、その場の空気感と、そこにいる村上春樹が立ち上がってくる。2015/12/05
starbro
321
今年は、結構、村上春樹本を読んでいて本作で5冊目(全て新作、翻訳含む)です。タイトルからラオス中心の紀行文かと思いましたが、インパクト狙いでラオスを採用したと思われます。私が実際に行ったことがあるのは、NY、ローマ、熊本の三カ所です。どれもそれなりに楽しめましたが、著者のJAZZ愛が感じられる「もしタイムマシーンがあったなら」がオススメです。2015/12/20
抹茶モナカ
254
村上春樹さんがこの約20年の間に書かれた紀行文を集めた比較的軽めの紀行文集。読みやすくて、しっかり春樹節もある本で、旅行がしたくなった。ボストンの話が2話収録されているのだけど、個人的にはボストンの話が好きだった。冬も運動するのがわかったり、ドーナッツの話なんか出たり。ダンキン・ドーナッツは行った事がないけど、村上主義者としては無視できない店だ。さらりと軽めの本が読みたい時に良い。でも、ちょっと散漫な感じもなくもない。2015/12/14
OCEAN8380
224
村上さんの紀行文集初めて読みました。読んでみて、その場所に行って見たいなぁと思いました。特にローマ、ここでノルウェイの森とダンスダンスを執筆していたんですね、時間があればゆっくり滞在して見たいです。熊本は震災で大変な状況だけれど復興したら久しぶりに訪れて見たいです。2016/06/26
hiro
189
20年の間に書かれた10編からなる紀行文集。さすが村上春樹、いいところに旅行していると思ったが、7編はJALが主にファーストクラス向けに出している機内誌「AGORA」向けの紀行文だった。しかし、旅行先の選定には、村上さんのこだわりを感じる。この本では、ランニング、ビール・ワイン、映画、音楽(ジャズ)、レコード、スワローズ、スターバックスなどが、繰り返し登場するが、スタバ以外の言葉からは、村上さんの生活と趣味がうかがい知ることができた。さてこの中では、一番行けそうもない、アイスランドに行ってみたいと思った。2016/01/03