プロローグ

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  • サイズ B6判/ページ数 326p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163903583
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

語り手と登場人物が話し合い、名前が決められ世界が作られ、プログラムに沿って物語が始まる。しかし…知的で壮大、刺激的な私小説。

小説の書き手である「わたし」は、物語を始めるにあたり、日本語の表記の範囲を定め、登場人物となる13氏族を制定し、世界を作り出す。けれどもそこに、プログラムのバグともいうべき異常事態が次々と起こり、作者は物語の進行を見守りつつ自作を構成する日本語の統計を取りつつ再考察を試みる……。
プログラミング、人口知能、自動筆記…あらゆる科学的アプローチを試みながら「物語」生成の源流へ遡っていく一方で、書き手の「わたし」は執筆のために喫茶店をハシゴし、京都や札幌へ出張して道に迷い、ついにはアメリカのユタ州で、登場人物たちと再会する……。情報技術は言語の秘密に迫り得るか? 日本語の解析を目論む、知的で壮大なたくらみに満ちた著者初の「私小説」であり、SFと文学の可能性に挑んだ意欲作。

内容説明

文学と言語とプログラミングが、登場人物と話者が交叉する…。物語生成の源流を遡行し、宇宙の彼方を目指す、私小説を自称する「私小説」。

著者等紹介

円城塔[エンジョウトウ]
1972年北海道生まれ。東京大学大学院博士課程修了。2007年「オブ・ザ・ベースボール」で第104回文學界新人賞を受賞し、デビュー。2010年「烏有此譚」で第32回野間文芸新人賞、2011年、第3回早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞、2012年「道化師の蝶」で第146回芥川龍之介賞受賞。2014年、“Self‐Reference ENGINE”でフィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

48
まさに、プロローグ。小説家が小説を書くことのアナロジーのようでもあり、マジな創世記でもある。ここまで自意識過剰な小説=語りの世界は頭がくらくらする。トリビアな知識のフレーズやくすぐりににやにやしながら読んでいくが、後半、混沌に満ちた展開についていけなくなる。ラストあたりで明かされる真実に、著者がこの作品のことをSFと言っていたのをようやく思い出した。こういうことが書けるような作家が芥川賞を取るとは時代が変わったなあと実感。知的興奮にあふれた実験作。対になっているらしい『エピローグ』を読みたい。2016/04/30

そうたそ

40
★★☆☆☆ 最近の「シャッフル航法」なんかは、割と分かりやすかったのだが、これは円城さんの本領発揮というか、個人的には難解すぎた一作。「エピローグ」はコテコテのSFっぽくてスルーしたのだが、本作はその「エピローグ」にも連なる作品でもあるとのこと。そもそもあらすじに書かれていることが分からないという作品もなかなかないと思うのだが、本作はまさにそんな感じ。円城さんが小説を書く上での頭の中を覗いているような感じにさせられる作品であり、そういう意味では興味深い。わからないなりに楽しむべき作品なのかも。2016/02/27

R

24
本人が私小説だと書いているのでそうなんだと思いたい。そう考えると、内容の半分くらいはスクリプトが自動生成したんじゃないかと疑いたくなるような、難解というか、理解しようという努力をあざ笑うような一冊でした。小説とは何かということに、哲学や、数学、物理学をひっかけつつ形而上的にどうしたこうしたといった、思索の跡を辿ることができるのだけども、作者と同程度の思考能力がないと、理解が遠い本でした。ところどころに挟まる、投げやりな冗句というか、愚痴めいたものは笑えたんだけどなぁ。2016/02/17

えも

24
読むのに時間がかかり、結果としてプロローグが今年のエピローグに。それにしてもさすが円城さん。小説が遂に小説自身を語り始めたといった感じの実験的小説で、相当難解な、というかめちゃくちゃな内容にも関わらず、何か楽しく読めてしまいました。2015/12/31

ぎん

24
『エピローグ』を読んだ人には、この小説を読み進めるうちに知っている名前が出てくることだろう。しかしそれはまだ物語とは言い難く、その見知った名前すら自分の知るそれであるか判断できない。そこにあるのはただ”文字”の織り成す宇宙であり、「”あるいは文字が、地面から見上げる。”」瞬間そのものかもしれない。それは奇跡か、はたまた必然か。一見物語とは関係の無い話のように見えて、しかし物語で無いのならば、そこに意味を見い出しまうのは私達読者であり、それすらも”彼ら”には御見通しであった。これは『プロローグ』に過ぎない。2015/12/30

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