出版社内容情報
鉄と戯れ、ゲージツする日々。殴られ続けた父親の死。蜂に刺され鹿が迷いこむ山の生活。生と死を見つめる眼差しが優しい私的短編集。
十七歳、家出少年の人生は、挫折、家族解散、借金返済の自転車操業。
愛猫、ビンボー暮らし、ゲージツ、室蘭、深沢七郎、モンゴル草原、青函連絡船、
編み物、ベネチア、父親、どぶろく、スキンヘッド、弟、甲斐駒ケ岳……
老いてなお逃げ続ける脚力で描き切った、崖っぷちの連作集!
文芸誌掲載作から名短篇を集めた『文学2014』アンソロジーに選ばれた
表題作。鉄と戯れ、ゲージツする日々、蜂に刺され鹿が迷いこむ山の生活。
家族と己の生と死を、タフに見つめつづける全8作。
内容説明
十七歳、家出少年の人生は、挫折、家族解散、借金返済の自転車操業。老いてなお逃げ続ける脚力で描き切った、崖っぷちの連作集!
著者等紹介
篠原勝之[シノハラカツユキ]
1942年、札幌市生まれ。鉄の町、室蘭市で少年時代を過ごす。上京後、絵本、舞台美術、小説、エッセイなどで活躍。86年から鉄を素材に作品を作り始め、モニュメントなどのダイナミックな造型を全国各地に生み出している。2009年、『走れUMI』で小学館児童出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫綺
143
糸井重里秘本として話題になったということで、手にとる。瞬く間に引き込まれる。鉄のゲージツ家、クマさんの自分史を基に書かれた名作。クマさんの人生そのものが小説なんだなぁ。こんな生き方は出来ないが、憧れる。2016/02/06
はたっぴ
81
鉄のゲージツ家、クマさんこと篠原勝之さんの自伝的小説。TVでの語り口に温もりを感じる人であることと、「糸井重里秘本」として取り扱われたことを知り手に取った。世にも恐ろしい父親に育てられた「オレ」は、父親を殺すことより逃げることを選んで上京する。その生きざまは鉄のオブジェとなり人々を魅了している。生活スタイルも個性的で、見た目とは違う繊細さを持ち合わせ、言葉だけではなく体ごと向き合うのだ。数多の悲しく辛い出来事が「オレ」を通り抜けて柔らかに陽転していく。心にグッとくる感覚は久しぶりだった。オススメの一冊。2016/03/15
milk tea
57
篠原勝之さんとクマさんが結びつくまで、ちょっと間があった。テレビで見るクマさんとあまりにも印象が違ったから。幸せとは遠くかけ離れたような半生だったように感じたが、居場所を求めるにはこのような選択しか無かったのかもと思うとなんとも言えない気持ちになった。お元気ですか?今も作品作られてますか?2017/03/10
メタボン
41
☆☆☆☆ ジフテリアで嗅覚のないオレ、おっかない父、苦労の末認知症になった母、ヤクザものの弟、長野山中の鉄工生活、愛猫との日々。じんわりと人生について考えさせる自伝的短編集。なかなかありそうでない作風に感じた。2019/02/03
アナクマ
39
「アンタは泣き虫だから、悲しくなったら手を動かすんだよ」母の送り言葉から、内職、メリヤス編み、編み棒、ゴミ収集箱、虫食い孔、庭のダリヤ像へと続く数行の流れに象徴されるような、人生断片圧縮語りに目を見張る。◉技巧があるとも感じさせない「掘り出したばかりの馬鈴薯ゴロン」系の短編集。自伝はこうでないと。傷口もカサブタもそのままに、投げつけるように書き連ねるも、そのくせ行間に吹きこむ乾いた風、射す春の陽。そこがいい。◉人生、救いは何処かにはある。手の届くそこらへんに転がってるそれ、それがそうかも知れない。2020/02/20
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