出版社内容情報
遠い号砲が、オジイの戦争の記憶を呼び覚ます。悪戯者の猿は、オバアの血を騒がせる。異界からの使者、錯綜する時間、魅惑の短篇集。
「九年前の祈り」で芥川賞を受賞した作家の、奇想あふれる6篇。
これが小説の底力!
遠い号砲が、オジイの戦争の記憶を呼び覚ます。
悪戯者の猿は、オバアの血を騒がせる。
冥界から使者が訪れ、水死人は姿を変えて帰還する――。
最初の作品から20年の光跡を示す、魅惑の短篇集。
内容説明
遠い号砲が、オジイの戦争の記憶を呼び覚ます。悪戯者の猿は、オバアの血を騒がせる。冥界から使者が訪れ、水死人は姿を変えて帰還する―。『九年前の祈り』の新芥川賞作家、奇想あふれる6篇。最初の作品から20年の光跡を示す魅惑の短篇集。
著者等紹介
小野正嗣[オノマサツグ]
1970年、大分県生れ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。文学博士(パリ第8大学)。立教大学文学部文学科文芸・思想専修准教授。2001年「水に埋もれる墓」で朝日新人文学賞、02年「にぎやかな湾に背負われた船」で三島賞、15年「九年前の祈り」で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
55
学生の頃に書いた『ばあばあ・さる・じいじい』他、故郷の〈浦〉を描いた一連の作品と、フランス留学後の作品の6編収録。一文が異様に長く、文末と次の文頭の2文字を重ねるしりとりのような文体は〈浦〉の閉塞感を表現しているのだろう。奇妙で醜怪、臭いや湿度やあらゆる不快さが立ち昇ってくる。苦行のような読書だった。2015/08/22
starbro
17
芥川賞受賞作「九年前の祈り」に続き二冊目で「水死人の帰還」を読みました。処女作を含む、初期短編集。文章は上手く読ませますが、テーマが地味で暗く、20世紀もしくは昭和の小説という感じです。芥川賞を受賞しなければ、陽の目をみなかった作品集ではないでしょうか?作家専業ではないので、自己満足な作品だけを書いていれば良いのかも知れませんが、このままでは売れない作家まっしぐらです! 2015/07/01
Yui.M
10
民話風だけど、背景がもう少し欲しかった気がしました。2016/10/25
toshi
10
作者の初期の作品を集めた短篇集。 冒頭の2作はとにかく一つの文章が長くて(平均1ページほど)読むのが嫌になる。 「ブイになった男」は三崎亜記の出来損ないのような話。 表題作は意味不明。 「おでぶではげの女の子とおじいさん」はストーリはさっぱり分からないうえ、描写はひたすら気持ち悪い。 「みのる、一日」も意味不明。 ということで、内容が理解できたのは「ブイになった男」だけ。。 「おでぶではげの女の子とおじいさん」以外はいずれも同じ場所が舞台で同じような描写が登場する。2015/06/24
たっきー
9
約10年の間に書かれた短編をまとめたものだったのに、ほとんど連作短編集じゃないかというくらい、つながりがあるように感じられる作品集だった。地方に伝わるあまり表に出てこない民話、みたいなイメージ。小野さんの作品にしてはまだすんなり読めた方だけど、それでもけっこう時間がかかった・・・。タイトル作が一番好み。2015/09/11