デブを捨てに

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  • サイズ B6判/ページ数 215p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784163901992
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

借金まみれの俺は“デブ”を車に乗せて北へ向かった。表題作「でぶを捨てに」など、泥沼のような日常を疾走するように描いた短編集。

「どれだけ読んでもOkcal!!」
シュールで最悪の状況を暴走するブラックユーモアの数々。
『暗くて静かでロックな娘』から2年ぶりとなる待望の小説集がついに刊行。

「うでがでぶか」。借金まみれの俺は、わけのわからぬまま、“デブ”を、黄色いスパイダーに乗せて北へ向かった……表題作の「デブを捨てに」をはじめ、〈シュール〉な設定、乾いた〈ユーモア〉と、エッジの効いた〈表現〉で、〈最悪の状況〉に巻き込まれた男たちを、独特のスピード感あふれる文体で、泥沼のような日常を疾走するように描く。
どこへ行くのかわからないスリルをあなたにお届けする、全四編の平山夢明〈最悪劇場〉。これぞ、小説表現の極北を目指す著者の真骨頂。
「まあ、大変、買わなくちゃだわ」

・他の収録作
「いんちき小僧」腹が減って腹が減ってしかたのない俺は、コンビニでキャラメルひと箱をくすねるが、店の女に捕まった。女は、警察には突き出さず公園に連れて行くと、一発ぶん殴ったら許してやると言う。やがて、その様子を見ていた男から奇妙な提案をされる……。
「マミーボコボコ」捨てた娘から三十五年ぶりに手紙をもらったおっさんに頼まれて、ついて行った先は、娘が嫁いだ大家族の家。そこでは、"ビックパヒー"なる父親以下、大家族の密着テレビ番組が収録中で……。
「顔が不自由で素敵な売女」行きつけのバー「でべそ」で酎ハイ二杯を飲んで、いい気分になった俺は、公衆便所のような臭いのするヘルスの個室で、ハラミという夏の日のコーラフロートのような頭のブスに、とびきりのサービスを受けていた。
「デブを捨てに」借金の返済期限が来たが、金を返せなかった俺は、事務所につけていかれボコボコに締め上げられたあげく、「腕とデブ、どっちがいい」か選ばされる。俺は、よくわからず「デブ」のほうを選ぶが……。

内容説明

“シュール”かつ“泥沼”のような状況を乾いた“ユーモア”とともにお届けする、異才の作家・平山夢明“最悪劇場”全四話。

著者等紹介

平山夢明[ヒラヤマユメアキ]
1961年、神奈川県生まれ。“デルモンテ平山”名義で、映画・ビデオ批評から執筆活動をスタートし、1996年、『SINKER―沈むもの』で小説家としてデビュー。2006年、短編「独白するユニバーサル横メルカトル」で、第59回日本推理作家協会賞を受賞。また、本作を表題作とした短編集は、2007年版「このミステリーがすごい!」で1位を獲得。2010年、ポプラ社刊『ダイナー』で第31回吉川英治文学新人賞候補、第28回日本冒険小説協会大賞、翌2011年に第13回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

徒花

421
なんか、思ったよりも印象が違った。もっと、町田康とか木下古栗みたいにとことんシュールで不条理な文芸なのかと思いきや、思ったよりもぶっ飛んでなくて、マトモ。ストーリーはしっかりしているし、登場人物のキャラクターもいちいち濃ゆい。たしかに、社会の底辺あたりにいる人たちの悲哀に満ち溢れているのだけど、それに対してはなかなかユーモアにあふれて、意外と読後感が落ち込まない、という側面はあるものの、ちょっとAmazonとかの書籍紹介文は盛りすぎ。2016/07/17

starbro

199
平山夢明の新作、ホラー色は薄れていますが、厭な小説集でCOOLな仕上りです。表題作の「デブを捨てに」と「マミーボコボコ」がオススメです。平山夢明はカルトな作家というイメージが強いのですが、読書メーターでは意外と登録が多く、ビックリです。但し、本屋大賞にはノミネートされないんだろうなぁ!2015/03/31

みっちゃん

134
よくもまあ、これだけ次から次へとダメ人間ばかり沸いてくるもんです。実写で見たらきっと「うわっ!!」と目を手で覆ったり、「うっぷ…」と込み上げてくるものを抑える場面満載なんですが、ここまで突き抜けられると、逆に明るいというか、いや、むしろ清々しいわ。絶対にバッドエンドなんだけど、本当のクズ人間には鉄槌が下されるのも何か小気味いいし、このとんでもなく異形の女たちが、潔くてかっこよく見えたりして。ずっと笑いっぱなしの後で、最後には胸が熱くなってしまった表題作が一番良かった。2015/08/28

澤水月

132
16秋無垢の祈り映画化情報コメに。いつにも増して最底辺、グログロでろでろのニンゲン達…だが全編に通底しているのは愛。ある社会現象モチーフいきなり出し仰天させたり、実話怪談仕込み題材形変え現れたりマニア初心者双方楽しませる。雑誌掲載時にも「夏の日のコーヒーフロート」の比喩には唸った(何が?読めば判る!)。ペーパーバック形態初め驚いたが凄惨なのにカラッとした作風に合う。もうホラーでくくれぬ深さ広さ。雑誌発表多数から書籍まで3,4年の精選加筆…真摯妥協なし、表題作は震災頃書かれたのかな…ボリビアは信じて待とう2015/02/20

hit4papa

116
借金の肩代わりとして、貸主の超絶肥満な娘を捨てに行くという「デブを捨てに」他、痛くて、気色の悪い作品集です。えせ大麻を売りさばく少年「いんちき小僧」、テレビの大家族ものを揶揄した「マミーボコボコ」、容貌に難ありな風俗嬢と元殺人犯の男「顔が不自由で素敵な売女」とタイトルのインパクトは絶大です。著者の作品は、ルックスや金銭的な問題を抱えた人々が登場し、どSな差別表現ギリギリのことろまできてしまうのですが、嫌悪だけに終わらないものがあります。無理やりではあるものの、ラストに些かのほっこり感があるからでしょうか。2017/10/23

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