風のベーコンサンド―高原カフェ日誌(ダイアリー)

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  • サイズ B6判/ページ数 301p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163901831
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

東京の編集者生活から心機一転、高原に一軒家カフェを開業した奈穂。ある秘密を抱えた彼女だが、丁寧な地元素材の料理は客の心を…。

“空腹警報絶対注意”の高原カフェを舞台に奇跡が起こる――。
百合が原高原に一軒家カフェ「Son de vent(ソン・デュ・ヴァン)」を開業した奈穂。かつてペンションブームに沸いたこの高原も、今はやや寂びれ気味。東京の女性誌編集部で働いていた奈穂が、冬には雪深く寒さの待ち受けるこの地へ移ってきたのには、深刻な理由が――エリート銀行員の夫・滋のモラスハラスメント(精神的虐待)に堪えかねて極度の自律神経失調症に陥り、これまでの生活すべてを変えるためだった。
夏は美しい自生の百合の花が咲き、秋は紅葉が見事なこの高原には、「ひよこ牧場」のバターやミルク、ソーセージやベーコン、「あおぞらベーカリー」の自家製天然酵母のパン、村役場に勤める村岡涼介の口利きで手に入るようになった有機野菜など、自然豊かな恵みがいっぱい。「高原のチーズクリームシチュー」「ひよこ牧場のベーコンサンド」「百合が原ポークソテー」「野生きのこのオムレツ」など、当日の仕入れでメニューを組む奈穂の料理は地元客からも好評で、観光シーズンにはお客を集めるようにもなる。
そんな奈穂のカフェを訪れるのは、ひとりの作業員風の男(『風音』)、離婚に決して応じてくれない夫(『夕立』)、ご近所の農家のお嫁さん(『豊穣』)、海外帰りの美しい経済アドバイザー(『融雪』)ら、それぞれが事情を抱えていた。奈穂の料理は彼らの人生を何か変えることができるのか? 実は奈穂自身が抱える現実も厳しい。スキー場が閉鎖され、新規ホテルに客が集中する状況で、奈穂は初めての冬を凍れる高原に留まって奮闘する。そして二度目の夏の訪れを前に、カフェ「Son de vent」に奇跡が訪れる!
女性を主人公に多くのベストセラーを輩出してきた著者が、自らレシピを試して「絶対においしいものだけ」がぎっしり詰まった連作集は、読者に栄養をたっぷり届けます。

内容説明

美味しい料理は奇跡を起こす―四季折々の恵みと紡ぐ6つの物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

星落秋風五丈原

282
登場する料理は全て実際に作ったものとか。読んでるうちからおいしそう。地産地消、ヒロインの再生、多分美ヶ原高原あたりがモデルの四季一巡りの間にカフェで起こった出来事が描かれる。ラストまで引きずる謎もあるのでドラマ向きだと思います。2015/01/18

紅はこべ

272
ほとんど会話とレシピでできている小説。ハードな柴田さんのソフトな面も出ている。「田中さん」の正体は読者には早くからバレバレだけどね。小枝やあおぞらベーカリーの選択は人生の厳しさを突きつけてもいるが。でも基本的に柴田さんにしては甘いかな。2015/08/22

ちはや@灯れ松明の火

205
百合の花咲く高原を走る風が背中を押す。手放した都会での結婚生活とたった独りで向き合っていくこの先の日々、ここでしか食べられないベーコンサンドが吹き払う不安の雲。届かなかった気持ちも思い上がりがはね返った傷も夕立が洗い流してくれる。懐深い土地が育んだ野菜と果物、土地を友として生きる人が作るパンやバターやソーセージ、過酷と豊穣は紙一重。綺麗事だけでは暮らしていけないけれど、夢を手放してしまったら生きてはいけない。このいとおしい高原に根を張ろう。季節がめぐりふたたび花は咲き乱れ、風が幸せになろうと笑いかける。 2015/07/24

積読亭くま吉(●´(エ)`●)

195
★★★★✩元より好きな作家で、シリーズ制覇してる作品もいくつかあり、私にとってはお馴染みさん♪ただ…最近新作を積極的に手にする事は有りませんでした。面白いンだけど、好きなんだけど…何か物足りなく、しかし平均点は軽々越える。後回しにしても惜しく無い作家(失礼な事言いますよねぇ汗)先日「和菓子のアンソロジー」に収録されている『融雪』を読んだ時、あまりの肌馴染みの良さに、一旦最初のページに戻って読み直すほど驚きました。本の数ミリ作風が変わった。今まで有った「既製品」の感じが抜けて→2015/05/01

冴子

178
都会からやってきて高原に構えたカフェ。のんびりした話かと思ったら、そこはそれさすが柴田作品。一筋縄ではいかない。 モラハラ夫との辛い過去。それを乗り越えて開いたカフェは、地元密着と丁寧な思いがたくさん詰まった素敵なお店。こんな単純なベーコンサンドは、パンとベーコンが素晴らしくおいしいからこそできるのかな~ 家庭で家族に作るおいしい料理と、カフェで見栄えよく客に出される料理とは根本から違うのね。 リリーフィールドホテルの話も、嫌味なく素晴らしい。 忘れられない一冊になりそうな気がします。2015/05/28

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