エヴリシング・フロウズ

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  • サイズ B6判/ページ数 346p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163901121
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

母親がうっとうしい、新しい同級生と絡むのは面倒、受験勉強も身が入らず。そんな中三生・ヒロシのリアルな一年を描く青春群像小説。

クラス替えは、新しい人間関係の始まり。絵の好きな中学3年生のヒロシは、背が高くいつも一人でいる矢澤、ソフトボール部の野末と大土居の女子2人組、決して顔を上げないが抜群に絵のうまい増田らと、少しずつ仲良くなっていく。母親に反発し、学校と塾を往復する毎日にうんざりしながら、将来の夢もおぼろげなままに迫りくる受験。そして、ある時ついに事件が…。
大阪を舞台に、人生の入り口に立った少年少女のたゆたい、揺れる心を、繊細な筆致で描いた青春群像小説。

内容説明

席替え、クラス替え、受験、引っ越し…中学三年生の人間関係は、つねに変わり続ける。大阪を舞台に、人生の入り口に立った少年少女の、たゆたい、揺れる心を繊細な筆致で描いた、芥川賞作家、会心の力作長篇。

著者等紹介

津村記久子[ツムラキクコ]
1978年大阪府生まれ。2005年「マンイーター」(単行本化に際して「君は永遠にそいつらより若い」に改題)で第21回太宰治賞を受賞し、作家デビュー。2008年『ミュージック・ブレス・ユー!!』で第30回野間文芸新人賞、2009年「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞、2011年『ワーカーズ・ダイジェスト』で第28回織田作之助賞、2013年「給水塔と亀」で第39回川端康成文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

410
地元の公立中学校に通うヒロシの視点から、3年生の春からの1年間を描く。いわゆるヤンキー文化圏の人たちは中学校区とそこで過ごしたかつての同級生に拘泥するらしいのだが、ここにはヤンキー臭はないものの、世界は狭く人間関係も限定的だ。もっとも、主人公ヒロシのヒエラルキーあるいは性格ゆえか、関係性はさほど濃密にはいたらない。これは誰もがかつて置かれた、イニシエーションの物語なのだろうか。しかし、けっしてノスタルジックでもない。この淡々と語られる日常のリアリテティが本書の真骨頂であろうか。2017/07/06

みっちゃん

170
ああ、もう大好き。あの『ウエストウィング』で小学生だったヒロシが中3になっていて。相変わらず考えすぎるから、友達や好きな女の子に声をかけようか、何て言おうか、いや上手くいかなかったら辛い、悶々としているうちにタイミングを逸してしまう。喋りすぎて口煩い母親にも面と向かっては言えず、脳内でぶつぶつと毒づくのにはもう笑ってしまう。臆病で不器用で。でもとびきり優しい心を持っている。友の絶体絶命には勇気を出して、声を張って走り出すんだ。胸が熱くなるよ。あんたのこれから先に幸せが沢山たくさん、待っていますように。2022/04/05

なゆ

160
おや?このヒロシは「ウエスト・ウィング」で塾通いの小学生だったあのヒロシだね。そうか、中3になったのか。クラス替えがあり、席が前のヤザワとなんとなく一緒に行動するようになり、気になる女の子もいたり、地味~ながらもそれなりの学校生活。ヤザワや同じ班の女の子のトラブル(けっこう深刻な)を見聞きしたら、「ああもう」って面倒くさがりながらも放っておけない。踏み込み過ぎない、でも気にはかけてる、微妙な距離感が津村さんらしい。卒業しそれぞれの道に踏み出すときの寂寞感や、高校入学式に向かう時の期待と不安、思い出すな~。2014/09/25

修一朗

149
宮部みゆきさんが絶賛していて自分も読みますって言ってたのが2018年12月。そこからこんなに経ってしまった。津村さん,様々な世代や学年の人を描くけどもいつも「よくしゃべってその場の酸素を奪う」ような人間とは一線を画した人ばかり。ヒロシもそう,悩みごと不安ばかりの中3,なのにまぁいろんな出来事に遭遇すること。野末・大土居・フジワラ・フルエ・増田・ヤザワ,みんなイイ奴だ。「いやいやながら,たぶん,いやいやでもしないといけないことだから。そこから逃げたらまともな大人になれないから。一生後悔するから。」大好きだ。2023/08/27

ちょろこ

134
前作「ウエストウイング」に続いての一冊。中3になったヒロシがクラス替えで出会った新しい仲間と得ていく世界を描いた物語。相変わらず淡々とした描写なんだけれど、津村さんはその瞬間をものすごく細かく丁寧に描いている。自然とその瞬間が脳裏に、でもしっかりと入ってくる感じが好きだ。仲間と過ごした一年間は確実にヒロシのこれからに繋がる貴重な経験。大人の世界の汚さ、ずるささえも…。この仲間達、その時々で誰かが誰かの支えになっていたことがオトナ心に沁みたな。ふわっと明日への爽やかな風が吹いたようなラストがまた良かった。2022/05/06

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