感受体のおどり

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  • サイズ A5判/ページ数 365p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784163828404
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

『源氏物語』のような大河恋愛小説でもあり、『失われた時を求めて』のような記憶についての物語でもある、異色の本格小説。

2013年1月、史上最高齢75歳での芥川賞受賞作『abさんご』が大きな話題となった黒田夏子さん。彼女が作家を志したのは20代の頃。世に出るまでの間に書き溜めた作品が幾つかありました。中でもご本人が自信作と語るのが、この『感受体のおどり』。今回、全面的に手を入れたうえで満を持して受賞第一作として発表します。
黒田さんは執筆と並行して、少女時代から日本舞踊に打ち込んできました。その踊りの世界を背景に、数十人の登場人物がドラマを織りなします。軸となるのは語り手の「私」が師匠である「月白」に向けるひたむきな恋。
もっとも登場人物たちの性別は一切明かされず、全文横書き、ひらがなを多用、といった独特のスタイルは、『abさんご』と共通します。
また、短い断章が連ねられながら恋愛模様が描かれていく様は『源氏物語』を、あるいは記憶の地層が掘り起こされていく様は、マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』をどこか想起させます。
大河ロマンでもあり、究極の実験小説でもある異色の傑作です。

内容説明

日本舞踊の世界で繰り広げられる恋模様と、野望を秘めた群像。350の断章がらせん状に組み上げられた、『源氏物語』『失われた時を求めて』を想起させる大河小説。

著者等紹介

黒田夏子[クロダナツコ]
1937年、東京生まれ。59年、早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。教員、事務員、校正者として働きながら、小説を書き続ける。63年、「毯」で読売短編小説賞を受賞、紙面に作品が掲載される。2012年9月「abさんご」で第24回早稲田文学新人賞(選考委員・蓮實重彦東京大学名誉教授)を受賞、75歳にして作家デビューを遂げる。同作は第148回芥川賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

iuba

14
すばらしい。読み終わるのが惜しく、先を知りたくてもどかしく、文章の上品でいながら激情の宿るさまが鮮やかで、至福の読書経験になった。精緻な文体が蜉蝣の羽根のように薄いひとひらをつむごとに、世界と、そこに息づく人びとの密度が増していく。ゆるゆると諦念を吐き出すような横顔に頷くことが多く、日常の僅かな傷を傷と見据える目にはっとする。三十五の掌編を十段の螺旋に組み上げる構成、男女の顔を明かさない人物たち、語られる世界の全容すらままならない。好き嫌いの分かれていく作品になろうが、体験してほしい。私は支持します。2014/07/06

そうたそ

14
★☆☆☆☆ 「abさんご」だけで決め付けるのもなあ、とか思って受賞第一作も手にとってみたが、やっぱり全然理解できない。読めども読めどもストーリーも情景も全く頭に入ってこない。ストーリーとかそういう問題じゃなくて、ただ単に文章にクセがありすぎて全然分からない。たぶん「abさんご」より一層クセの強い作品なんじゃないかと思う。ひらがなを織り交ぜ独特の文章表現を用いた文体は美しいとは思うけど、内容が頭に入ってこないんじゃ意味ないよなあ。何一つ理解できなかった作品など初めてだった。もう読むことはないかな。2014/01/13

zumi

12
まず冒頭、「男か女かときかれて、月白はどちらかと問いかえすと、月白が女なら男なのかと月白は笑った」ーーえ? 一番(全部で350番)ごとにメインの人物が変わって、それが章としてある程度まとまって連なり、また現れる見事な螺旋を表している。さらに登場人物の舞(回転・性の変化)、「見られながらにして見る」要素も加わってくる。個人的には二せんじかんや百びょうといった時間の表し方も好きだが、なんといっても各章の冒頭! これもズレながら「螺旋」的になっている... 個人的には前作よりも読みやすく、かつ面白いと思う。2014/04/09

圓子

8
古典を読むような静かな映画を観るような。鮮やかな色を隠す強すぎる光。抑制された表現がかえってなまなまとした痛みを伝える。普及した名詞は他者が創ったものでしかないのなら、どうして自分の身に沿う言葉をつくっていけないことがあろう。2014/02/04

kambashig

2
日本舞踊の師匠への恋心を中心に、「私」と踊り、物書き仲間、勤め先、子ども時代それぞれの人たちとの関わりを断片の積み重ねで描く。印象的な表現があったり、バラバラのピースを読みながら再構成するのはパズルのようでもあり、面白いと思える時もあるのだけれど、やはり読みにくい。芸の世界は面倒くさいところだというのが一番の印象かもしれません。2014/02/06

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