もう一枝あれかし

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  • サイズ B6判/ページ数 232p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163823805
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

仇討ちに出た男の帰りを待つ遊女、夫に自害された妻の選ぶ道…身分や武士の矜持、制約の強い時代だからこその一途な愛の物語五篇。

「火群のごとく」から三年―自然豊かな六万石の小舞藩から、また新たな傑作が生まれた。

仇討ちに出た男の帰りを騙されているとわかりながら待つ遊女(「風を待つ」)。醜男の武芸の達人と、始めた崇拝した美しい女との皮肉な巡り合わせ(「甚三郎始末記」)。夫に自害された妻の生きる道とは({もう一枝あれかし」)――身分、男の矜持、女の嗜みなどの制約が現代よりも厳しい時代だからこそ際立つ、男女の物語五篇。

内容説明

男はなぜこうも散り急ぐのか。遺された妻たちの、女にしかできない戦い方とは―。男と女の一途な愛を描いた五つの物語。「小舞藩」を舞台に、新たな傑作時代小説が誕生!

著者等紹介

あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年岡山県生まれ。青山学院大学文学部卒業。小学校講師を経て、1991年作家デビュー。『バッテリー』で野間児童文芸賞、『バッテリー2』で日本児童文学者協会賞、『バッテリー』シリーズで小学館児童出版文化賞を受賞。2011年には『たまゆら』で島清恋愛文学賞を受賞した。児童文学からヤングアダルト、一般小説でもミステリー、SF、時代小説などジャンルを超えて活躍する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ひめありす@灯れ松明の火

64
もう一枝あれかしと、望むくらいの足りなさが丁度いいのか。それとももう一枝あれかしと欲張って望んだ因果がこれか。首を手折られた菊の花、夜に香る紅梅、見る事の叶わなかった蓬莱の珠の柄。皆美しくも儚く無残だ。男は終わりを知って生き急ぎ、女は終わりを知って生を伸ばす。前作『火群のごとく』では、友達でも敵でもない、不思議な関係の少年たちを描いた小舞藩。近作は大人達の物語。肌の香を知り、繋がる温かさを抱き止め、未来を託す悲しさを知った。命と引き換えに望んだ枝の先に花が咲き、実が生るのはきっと今しばらく、先のことだろう2014/06/16

ぶんこ

48
武家社会での生き急ぐ男達。 読んでいて、あぁまたか。 心が塞がれる思いになりました。 つくづく、地位も名誉も要らない、贅沢も望まない。 平穏無事に過ごせたら、何も要らない。 こう思う女性が多いのではないでしょうか。 切なくて寂しい物語の最後で、新しい命が誕生したのが、唯一の救いでした。2015/01/17

Nyah

47
「〜のごとく」シリーズの舞台、六万石の小舞藩から。男と女。散り急ぐ男、男を立てる女。身分制度、男尊女卑、約束。苦界に身を沈めて金子を用立てる女。惚れた女の亭主に嬲り殺された女の仇を打ち、惚れた女に斬られる男。短編なのですぐ読める。切ない話ばかり。2022/09/24

藤枝梅安

45
「火群のごとく」と同じ小舞藩を舞台とした短編5編。いきなり「酔いどれ小籐次」みたいな武芸者が出てくる。「筒井道場」も頻繁に出てくる。藤沢周平さん、葉室麟さんの小説のように、地方の小藩の勢力争いも扱われているが、あさのさんは、政争の陰で展開される下級武士と女中や遊女などの女性の関係を描きながら、男達の「落とし前」「けじめ」のつけ方の身勝手さを浮き彫りにしている。自分の誇りのために死んでいく男たちと残された女たちの対比を季節の花々に託して描く設定が見事。2016/04/03

浅葱@

44
情話。男の生き様の中で、女の生き様が見える。哀しみ、儚さ。昇華する想いもあり、読後の余韻は悪くはなかった。あさのあつこさん、ひとつ踏み込みましたね。2014/05/31

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