出版社内容情報
「私はただ幸せになりたかっただけなのに」。三十路、独身、派遣OLの春菜は、男に騙され、仕事も切られ、騙す側になろうと決めた。
三十一歳、独身、派遣OL。地方都市で懸命に生きている女性が、ふとしたきっかけで犯罪に手を染め、転落し、それでもタフに生きていくさまを描いた究極のイヤミス。
田舎暮らしが嫌で実家を出た清原春菜は、地方都市で派遣OLをして暮らしている。三十路を迎えて婚活にいそしんでいたが、結婚相談所で紹介された男にお金を騙し取られ、同じころ派遣先からも仕事を切られてしまう。実家に援助を頼むが、男に騙されたとは言い出せず、家賃や公共料金の支払いさえ滞る始末。実兄が結婚し、春菜の実家での居場所はとうになくなっていたのだ。ハローワークに通ってもろくな再就職先はなく、しだいに毎日の食事にも困窮する春菜……。
ほんとうの幸せとは何か。なぜ、どれだけ頑張っても、自分は幸せになれないのか。幸せに憧れることが、そんなに贅沢な望みなのか。ただまっとうに暮らしてきた自分を、男たちも、会社も、いいように利用するだけ利用して捨てた。私には、世間からお金を返してもらう資格がある! 開き直った春菜は、騙される側から騙す側にまわることを決意し、「ある行動」に出る。
「なぜ、私ばかりこんな目にあうのだろう」「私はただ、普通に幸せになりたかっただけなのに」――やがて追われる立場になり、逃避行を続けながら、なお自らの肉体を武器にタフに人生を生き抜こうとする春菜。彼女に「安住の地」はあるのか? 彼女を待ち受ける驚愕の運命とは? 著者渾身のサスペンス・ミステリー傑作。
内容説明
清原春菜。31歳、独身、派遣OL。田舎暮らしを嫌い、実家を出て働いていた春菜は、男に金を騙し取られ、派遣先からも仕事を切られてしまいます。実家に援助を頼もうとするも、騙されたとは言い出せず、ついには毎日の食事にさえ困窮するように…。それでいて、彼女はどこか明るく、前向きなのです。―気がつけば、私たちは春菜の一挙手一投足から目が離せなくなっています。
著者等紹介
水生大海[ミズキヒロミ]
三重県出身。1995年、秋田書店より漫画家デビュー。2005年、第1回チュンソフト小説大賞(ミステリー/ホラー部門)銅賞受賞。2008年『少女たちの羅針盤』で島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作を受賞し、翌年に本格デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 和書
- 佐助と幸村 講談社文庫