出版社内容情報
常に男たちの注目を集め争いの元になる「災いの女」でありながら、誰よりも貪欲に幸せを追い求めた白草千春の波瀾万丈の人生。
奇跡的美貌を持つがゆえに、地獄をめぐる女の運命は?
白草千春が13歳のときに、多額の借金を残して父が失踪。父の知人・小児科医である花岡の家に移り住むも、彼は少女偏愛者だった――。養父に、ヤクザに、京都の黒幕に身を捧げ、「好色」の業を背負って、ジェットコースターさながらの激しい浮き沈み人生をおくった千春に、ハッピーエンドは訪れるのか。
デビュー30年を迎えた著者が今のすべてを注ぎ込んだ、もっともエロティックで崇高な問題作。装画は「テルマエ・ロマエ」のヤマザキマリ。
内容説明
優雅に堕ちてゆきたい。奇跡の美貌を持つ女vs.世の中を悪くする男たち。誰からも愛されたがゆえ誰よりも辛酸を舐めた千春にハッピーエンドは訪れるのか?『好色一代女トゥデイ』デビュー30年・渾身の長篇小説。
著者等紹介
島田雅彦[シマダマサヒコ]
1961年、東京都生まれ。東京外国語大学ロシア語学科卒業。1983年『優しいサヨクのための嬉遊曲』でデビュー。『夢遊王国のための音楽』で野間文芸新人賞、『彼岸先生』で泉鏡花文学賞、『退廃姉妹』で伊藤整文学賞、『カオスの娘 シャーマン探偵ナルコ』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
それいゆ
34
この表紙画の本を借りるのは少し恥ずかしくもあり、あまり期待せずに読み始めたのですが、現代版「好色一代女」といってもいいくらいに波瀾万丈の人生は面白かったです。「テルマエ・ロマエ」のヤマザキマリさんのイラストは、登場人物のイメージが固定化されるので、どうかな?という思いもありますが、主人公の千春は壇蜜によく似ています。暴力団組員の矢野は三島由紀夫だし、若手歌舞伎役者は市川海老蔵にそっくりです。今人気絶頂の壇蜜主演でぜひドラマ化してほしいものです。きっとヒットすることでしょう?2013/03/11
colocolokenta
27
美人も一万人に一人くらいはいて、好みも別れるので、誰もが千春さんに惚れるわけではないので、“傾国”というタイトルはちょっとどうか。あと、まともな奥方のいる男が出てこないのはおかしい。美人は隠れて生きてても誰かが探し出してしまう。目ざとい男は美人を見つけ次第結婚してしまうが、運悪く社会に出てしまった美人というのは本当に気の毒で、老若様々な男につきまとわれることになる。それにしても、美人というのは本当に不思議な存在だ。なんで惹かれ、もう一度会いたくなるのだろう。残念ながらその答えは本書にはない。2013/02/20
カタコッタ
18
久しぶりの島田雅彦。読み始めたら止まらないマシンガンのような展開。私はとても面白く読みました。世の中にはこんな女もいるかもしれませんね。いや、いるでしょう。ヤマザキマリの挿画は私には生々しく、そうそうこんなやついるね、ひとりごと言いつつ読みました。こういう話をするする読ませる島田雅彦先生、さすがです。2015/09/15
いくら
18
そもそもの分岐点は職業選びの段階か、壇家と取引するにかっていうところで母親を切らなかったところなのか、彼女の一生を振り返って真剣に考えてみる。愚かだなと思ったり、潔い姿に共感を覚えたり。2013/10/15
葉芹
18
島田雅彦デビューです。やはりその辺のこわっぱとは違いました。堪能しました。千春の美貌の描写が少ないぶんは想像ですかそれこそ日本語の世界です。楽しかった。これこそエンタメです。葉芹絶賛の巻。2013/07/14