出版社内容情報
ワシントンDCで女性器を抉りとる猟奇殺人犯が逮捕されアルカトラズ刑務所に送られる。ある事件をきっかけに犯人は脱獄に成功するが。
内容説明
一九三九年十一月二日、ワシントンDCの森で、娼婦の死体が発見された。被害者は木の枝に吊るされ、女性器の周辺をえぐられたため、股間から内臓が垂れ下がっていた。時をおかず第二の事件も発生。凄惨な猟奇殺人に世間も騒然となる中、意外な男が逮捕され、サンフランシスコ沖に浮かぶ孤島の刑務所、アルカトラズに収監される。やがて心ならずも脱獄した男は、奇妙な地下世界に迷い込む―。
著者等紹介
島田荘司[シマダソウジ]
1948年、広島県生まれ。武蔵野美術大学卒業。1981年に『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たす。「島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や、台湾・皇冠文化出版有限公司が主催する中国語によるミステリー新人賞「島田荘司推理小説賞」の選考委員をつとめるなど、後進の育成にも尽力している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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koba
110
★★☆☆☆2014/04/12
藤月はな(灯れ松明の火)
48
幻想世界のような細かな事象さえ現実を構成する伏線となる島田荘司節を久しぶりに堪能しました。女性の吊るされた遺体には子宮等が体外に出るような処置が施されていた。「重力論文」の内容は父と話した人間の進化の内容と現在も起きている症例が思い浮かびました。捕まえられた男が送られたのはアルカトラズ監獄。そして脱獄した男が見たのは「パンプキン V605」と提唱される国だった。パンプキン王国でのポーラとの日々は「異邦の騎士」のようでほんわかしますがパンプキンの意味を知った時、事実を知っていても苦しくって遣る瀬無いです。2013/01/30
みっちゃん
48
猟奇連続殺人にまつわるミステリーなのかと思ったら、とんでもありませんでした。予想不可、驚愕の展開に私の貧弱な想像力は木っ端微塵です。途中から頻発する「パンプキン」の単語にはひょっとしたら…と思いましたが、最後の1Pまで、どう締めくくるかわからなかった。以前【写楽 閉じた国の幻】を読んだ時にも感じたのですが、何冊もの本を読んだ気分です。古生物学、天文学の知識はありませんが「重力論文」には「なるほど!」と唸らせられました。とにかく、すごい本でした。2012/12/19
夜梨@灯れ松明の火
44
図書館。第二次世界大戦前のワシントンDCで起きた猟奇的殺人(?)事件の犯人の半生を島田荘司らしいタッチで描いています。SFっぽい話なんですが、SFではないのが、とても好みです。ただし、作中に引用される論文は、ほぼ斜め読みでした。難しすぎます。(苦笑)読み終えて、本を閉じた時に見えた表紙が…うーん。幻想です。2013/03/07
山田太郎
39
面白いっていえばそうなんですが。多分得意のあれと思って読んだらやっぱりあれで、この強引さがたまんない人には楽しめるのではないかと。御手洗物が読みたいと思う今日この頃。しかし、本格じゃないよな、これ。2012/11/18