出版社内容情報
なにげない日常の隙間に口を開けている闇。それを偶然、覗いてしまった人々のとまどいと恐怖。夢とうつつの狭間を描く傑作短篇集。
内容説明
生れるより先に死んでしまった子に名前などつけてはいけない。過去からの声があなたを異界へといざなう八つの物語。
著者等紹介
角田光代[カクタミツヨ]
1967年、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。90年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞、96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で第一三二回直木賞、06年「ロック母」で川端康成文学賞、07年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、11年『ツリーハウス』で伊藤整文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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風眠
133
角田さんは短編もうまい!しっとりとした闇の手触りが感じられる短篇集。私は特に後半の『前世』『わたしとわたしではない女』『かなたの子』の3編が好み。女である哀しみ、女であることの業、諦めること、言葉に出さないこと、これらの物語に出てくる女の人達は、この世とあの世のあるかなきかの境目でいつも苦しんでいる。夜の闇がひろがって、私の中の闇が飲み込まれていくような、じっとりと吸い込まれていくような感じ。かつて放送禁止歌となってしまった「竹田の子守唄」の世界観と似ている気がした。2012/02/25
takaC
108
嫌な感じの気味悪さ。2012/03/16
おくちゃん🍓柳緑花紅
103
帯に「過去からの声があなたを異界へといざなう」とあったがまさにその通り。背中がざわざわ寒いのは風邪のせいなのか?怖いせいなのか?と思いながら読んだ短編八つ。今生きている私も大きな巡りのなかのたった一瞬。長い大きな巡りのなか、この世に生を受けられなかったもの、受けられても生きていけなかったもの、私の知らない過去があって今私がありそしてまた誰かの過去になっていくのだ。感想は難しい。私に出きることは未来を生きること。暖かく明るく次にバトンを渡そう。2016/02/06
パフちゃん@かのん変更
79
どれも死の匂いのする不気味な話。不思議な魅力で一気読みしたが、ちょっと怖いかも。角田光代さんの「八日目の蝉」は好きだったが、これはちょっと微妙。2013/04/17
ゆみねこ
78
命の向こう側とこちら側。生と死を扱う、不思議な短編集。どちらかと言うと苦手なジャンルでした。2015/05/06