出版社内容情報
郷里を離れ、東京で酒造メーカーに勤める熊沢武夫。震災後に起きた不思議な出来事をきっかけに、ある女性の顔が頭に浮かぶ……。
内容説明
郷里の母から送られてきた、バーバリーのレインコート。なぜ?ここにもあるのに…。震災後の生と死を鋭く問う、白石一文の新たな傑作。
著者等紹介
白石一文[シライシカズフミ]
1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。文藝春秋勤務を経て、2000年『一瞬の光』でデビュー。2009年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で第22回山本周五郎賞を、2010年『ほかならぬ人へ』で第142回直木三十五賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
75
いろいろなことを考えさせる小説。震災後の日本の空気感を正面から描いていて好感が持てた。ただ途中で延々と述べられる時間や死に対する考察には閉口して、哲学ではなく物語を読ませて欲しいと感じた。でもこれが白石さんの持ち味で生きるとは何か、死とは何か真剣に自分自身に問いかけながら小説を書いているのかもしれない。人間の世界イコール死の世界というシニカルな世界観が示されるけれども、だからこそ人と人のつながりや人間のぬくもりが、かけがえのないものという作者の想いが本を読み終わる頃にはこちらの胸の中に届く気がした。2013/10/25
ケイ
60
自分の手元にあるコートがはるか離れた実家のそばで見つかる。そのコートのポケットに入っていたSDカードの内容を復元し、それに導かれるように戸惑いながらも行動していく主人公。真の男女の愛や夫婦突あり方をき詰める白石さんのテーマに加え、震災や放射能、ポストメルトダウンの生活とは問いかける内容、。全体的に中途半端な仕上がりで、結局一番伝えたいことがわからなくなっているように思う。2014/05/01
優希
43
色々話が混み合っていてよく分かりませんでした。ミステリーのようでもあり、SF寄りの物語でもあり。2022/09/10
それいゆ
43
週刊ブックレビューでこの本の特集をしていました。白石さんがインタビューを受けて話をしているのですが、私には内容や意図するところがあまり伝わってきませんでした。その後すぐにこの作品を読み始め、時空を越える?という発送には斬新さを感じましたが、震災と関連づけることに必然性があるのか疑問です。カトリックと関連させて話が展開していきますが、これも取って付けたようで違和感を感じました。巡礼でフランスのルルドを訪れ2泊したことがありますが、登場する犬の名前がルルドというのは何か神聖なものを穢された感じがして嫌です。2012/02/25
百太
30
イベント【東日本大震災・あの日を忘れない】参加中。 白石一文の神秘的小説は好きなんだけど・・・・ この作品はどうもなぁ・・・・。 棺桶並べると東京都の二倍の面積が必要とか、人は動物、植物の命を頂いて生きているのだから、自然災害で命を捧げるのは必要枠、みたいな表現比喩など・・・どうも引っ掛かる部分多しでした。2016/03/22