出版社内容情報
劉備亡き後の蜀を支えてきた諸葛亮は、建興12年、五丈原で薨じた。そして楊儀と魏延の蜀兵の指揮をめぐる対立が鮮明になり──。
内容説明
十万の軍を率い、魏軍と対峙するさなか、孔明は篤い病にたおれる。そして蜀は魏延と楊儀の抜き差しならぬ対立から衰亡の道を辿ることに…。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
60
ついに諸葛亮孔明が五丈原にて没します。三国志演義はここで終わります。ですのでこの巻からは三国志に出てくる人物はほとんど没してしまっていて、宮城谷さんは歴史の記述どおりに客観的に書かれているような気がします。次巻で終わりなのですが、本当の三国志ということを目指しておられる気がします。2015/05/23
キジネコ
53
五丈原の戦場にて病没した諸葛亮孔明、理想三国鼎立は果たして、どの様に彼の目に映っていたのだろうか?漢末の乱世を集約したかに見える三つの王国、だが大陸には4番目5番目、実行力を持つ共同体が更に存在していた。魏は早世を経て3代、蜀は2代、呉に至っては嘱望された後嗣孫芳の死によって継承の道筋さえ不明の霧中。鼎立の思想も過渡期の打算であるとすれば時代は、既に次なる理想を目指す胎動を開始していた。それは正に曹操が漢帝国の末期の水を汲んだ史実の様に成長する一個の頭脳、司馬懿仲達に主役の座を譲る前夜の趣。第11巻へ。2019/04/26
キジネコ
49
魏の三代、幼帝曹芳を支える曹氏と司馬氏の確執政争暗躍の色合いが徐々に濃厚さを増す。大儀に向き合い、人の量器が露呈します。凡庸な曹爽は「自家」の繁栄を露骨に願い、司馬懿は欲を秘匿し、只管謙虚である事を属人にも諭す。嘗て曹操をして、孫権の如き後嗣が欲しいと言わしめた呉王にも老廃の影が憑り憑き、呉は懊悩の霧に惑乱し帝国は未来を照らす光明を次第に失う。孔明の遺命によって能吏が主導し始める蜀には数旬の安寧の時が訪れたか見えるが… さて掌中に踊る権力の蠱毒。人は感染し自己を、度量衡を試される。時代を切り開く大器は? 2012/02/05
future4227
42
諸葛亮が逝く。今まで散々こき下ろしていた宮城谷氏も、最期は彼の成長ぶりを多少評価している。そこへ台頭してきたのは無敗の将軍、魏の司馬懿。軍事・行政の両面で能力が高く、先見性、行動力が尋常ではない。彼の作戦や命令はセオリーに反していることが多く、いちいち説明を聞かないと納得できないほど、敵の心を先々までよく読んでいて神がかっている。そして蜀にも孔明なき後、費禕という天才的頭脳を持った政治家が現れる。魏呉蜀に遼東郡の公孫淵までもが入り乱れて、東に西にへの合戦ラッシュとなる第十巻。2020/04/28
優希
40
孔明逝く。人智なくとも努力の武将なせいか、後継者指名は見事。そして魏では司馬懿が台頭してきます。孔明死後は三国志の終盤のような気がして寂しくなります。個人的に孔明好きというのもありますが。2024/04/04
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