出版社内容情報
05年春、癌が発見され、膵臓全摘の手術を受けた吉村昭の、1年半後の壮絶な死までを、作家でもある妻が硬質で冷静な筆で作品化。
内容説明
二〇〇五年二月に舌癌の放射線治療を受けてから一年後、よもやの膵臓癌告知。全摘手術のあと、夫は「いい死に方はないかな」とつぶやくようになった。退院後は夫婦水入らずの平穏な日々が訪れるも、癌は転移し、夫は自らの死が近づいていることを強く意識する。一方で締め切りを抱え満足に看病ができない妻は、小説を書く女なんて最低だ、と自分を責める。そしてある晩自宅のベッドで、夫は突然思いもよらない行動を起こす―一年半にわたる吉村氏の闘病と死を、妻と作家両方の目から見つめ、全身全霊をこめて純文学に昇華させた衝撃作。
著者等紹介
津村節子[ツムラセツコ]
1928年、福井県生まれ。学習院女子短期大学文学科卒業。53年吉村昭と結婚。在学中より小説を発表し、64年「さい果て」で新潮社同人雑誌賞、65年「玩具」で第五十三回芥川賞受賞。90年「流星雨」で女流文学賞、98年「智恵子飛ぶ」で芸術選奨文部大臣賞、2011年「異郷」で第三十七回川端康成文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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