出版社内容情報
北関東の紅雲町でコーヒー豆と和食器の店を営む老女・お草。知的で小粋な彼女が、詐欺まがいの不動産取引に絡む揉め事に係わって……。
内容説明
小蔵屋を営む老女・お草は、最近くさくさしている。近所に安さと豊富な品揃えが売りの和雑貨店・つづらが開店し、露骨な営業妨害を仕掛けてくるからだ。しかもつづら出店の裏には詐欺まがいの不動産売買の噂があって、草はほうっておけなくなるが…。コーヒー豆と和食器の店を舞台に、老女が街で起きるもめ事を解決するコージー・ミステリー。
著者等紹介
吉永南央[ヨシナガナオ]
1964年、埼玉県生まれ。群馬県立女子大学卒業。2004年、「紅雲町のお草」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。08年、同作を含む『紅雲町ものがたり』(文庫化に際し『萩を揺らす雨』に改題)で単行本デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひめありす@灯れ松明の火
75
どの日まで戻ったら、私は今よりも幸福になれるのでしょうか。息子と別れてしまったあの日でしょうか。気の進まぬ縁談から抜け出して、若い女と出会った日でしょうか。別れた息子とよく似た背格好の子どもと出会い、一度はご縁があったかもしれぬ病床の男と出会い、国を飛び出したかつての若い女と出会い、戸惑い揺れて、惑わ不る年の二倍を生きたはずの心が怒り乱れて揺れる。それでも私は、どの日も選ばない。前を向いて、誇り高く生きていく。いつかまたやってくるであろう【その日】。【その日】が来たときに堂々と、今の道上を進んでいける様に2012/10/29
itica(アイコン変えました)
48
図らずも不動産トラブルに巻き込まれる草。前作とは打って変わってダークカラーにシフトした感じ。少しコミカルでお茶目な主人公が好きだったので、今回はちょっとイメージが違うかな、と肩すかしを食らったところもあるが、悲しい過去を胸に秘めながらも前向きに明るく生きる草は相変わらず魅力的。てか、こんなに積極的に人助けをしちゃうおばあちゃんはそうそういないだろう。せっかくなので次回作も読んでみようと思う。 2013/07/07
あつひめ
47
前作があるとは知らず先に予約して読んでしまった。落語の大家さんのような存在のお草さん。知恵もあり人脈もあり、自立した一人の女性。抱えたものが大きい分、人にも思いやりを持って接することができるのでしょうね。もっと下町っぽい物語かと思いきや・・・ちょっとその筋のお方たちとの問題に親子関係やら何やら絡んで絡んで・・・。2冊目からでもそこそこ楽しめました。きっと前作からだったらもっとお草さんの人柄、登場人物たちとの出会いなんかもわかるのでしょうね。紅雲町ものがたりが早く届かないかな。3作目を期待します。2011/10/28
くりきんとん99
45
前作は、わりとほのぼのとした感じだったけど、今作は、全体的にちょっとぴりっとした緊張感があった。小蔵屋の近くにできたライバル店「つづら」の嫌がらせから、あんな話になるなんて。やっぱり探偵っていう感じはしないけど、草さんの行動力はすごいですね。由紀乃さん、宮崎に行ったんじゃなかったっけ?地味に気になりました。2011/07/16
れいぽ
41
やっぱりお草さん素敵だな~。ポトフ作っちゃうとことか小蔵屋の経営哲学とか。今回もお草さんが遭遇する事件はダークネスなんですが読後感は悪くないです。これも亀の甲より年の功的なお草さんマジックのなせる業(笑)「それはあなたの引き出しに収まるか?」という問いかけにハッとしました。物理的にも精神的にも、時々自問自答したいです。2011/09/24