内容説明
母親の死によりひもとかれた25年前の同人誌。あのころの想いは、時代を、場所を、性別を越えてつながっていく―児童文学の旗手が少女期の想いを瑞々しくつなぐ連作短篇集。
著者等紹介
笹生陽子[サソウヨウコ]
東京都生まれ。作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆみねこ
69
笹生陽子さん、初読み。地味で平凡な母が40歳で突然死をする。その母が遺した25年前の同人誌。マンガ少女や巻き込まれた少年たちを描いた連作短編集。青春ですね。2019/07/20
sk4
60
人に歴史あり。誰だってそうなんだけど、自分のことしか考えてないくせに、自分のことが一番よくわからない。そんなことを気付かせてくれるのが、近しい人の死だったり、遺品だったり、死を悼んで訪れてくれるその人と青春を共に過ごした友だったり。そういうものをバトンにして今度は自分が走る番になる。清々しい若者たちの生き様を紡ぐ、青春小説。2012/07/02
七色一味
49
読破。一人の主婦の死。そこから物語は遡及し、走馬灯の様に過去の出来事が、登場人物によって語られていく。それは、四人の女性のそれぞれの声であり思考であり、その人を通して浮き彫りにされるその他三人との物語。誰かの手から誰かの手へと渡される、不思議な色のバトン。それは命だったり、目的だったり、希望だったり──。凄く抽象的だけど、この本を読み終えて私が感じたのは、受け継がれるコバルトブルーのバトンだった。みんなが明るく、それだけに私の胸の奥が、ちくちくと痛む。2011/11/04
瑪瑙(サードニックス)
42
母親を突然亡くした兄妹。その亡くなった母親のお通夜にやってきた同級生たちから、中学生時代にマンガの同人誌を作った事を知らされる。母親と同級生たちの過去の話。夢見る中学生たちの同人誌作り。各々に青春だなあと思える。マンガや絵の事が出てくるので、色々な『色』が登場します。2021/06/11
acidrain
41
短編集でそれぞれ語る人も違えば語り方に特徴もあり巧いなぁと感心する。内容は普通の人たちの普通な話で強烈なエピソードがあるわけでもないし上手く説明できないけども心温まる話っていうのもまんざらでもないと思う。個人的には平岡のエピソードがあればなお良いと思った。2012/08/13