出版社内容情報
子どもを身籠ったちゑ、満州に赴任する女医・壽子、浅草芸者の松太郎。戦火の下、句会で友情を育んだ3人の女性の凛とした生き方。
内容説明
満洲国皇帝の御前で句会が開かれた!?新進の科学者と結婚するも流産し、失意の日々を送るちゑ。女子医専を卒業し大連の病院へ赴任する壽子。六代目尾上菊五郎の妾となった浅草芸者の松太郎。三人の人生が満州国皇帝・溥儀、川島芳子、甘粕正彦、永井荷風らと交錯する。戦争という激流のなかを、凛々しく生きる三人の女たち。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
れみ
32
「俳風三麗花」の続編。句会に集う籌子とちゑと松太郎、三人の女性がそれぞれに戦争に巻き込まれていくお話。時代背景ゆえにきな臭いエピソードが多かった。時代の風物や俳句を楽しむ性格が強かった前作の方が良かったなあと思う反面、満州に渡った日本人によってその地ならではの季語ができたりしたところは興味深いと思う。2014/05/09
深青
16
俳風三麗花続編。それぞれの道を歩き出した3人。時代の大きなうねりに飲み込まれ揉まれた感じがするなぁと。単純に俳句を楽しむと言うよりは…3人の女性の生きざまを描いてあった気がする。俳句を生み出す楽しさ難しさ、俳句の味わいを知る1巻と色々な地点で俳句が活きる2巻。どちらも面白く読めました。2015/11/04
りほ
6
良質な俳句小説、俳風三麗花の続編。舞台が満州、東京と二つの場所へ。句会の場面もあちこちに。更に甘粕大尉、川島芳子、永井荷風、溥儀まで登場。その分、3人の女性の描写がやや減ったのはやや残念。時代の荒波を経て、彼女達には幸せになって貰いたいと切に願いました。作者の力量から一定のレベルは保っているのですが、比べてしまうと前作の良さがひきたちます。2013/11/12
旭
5
単体で読めば題材も何もかも嫌いではないのだけど。あまりに前作が良すぎたので、壮大な蛇足とだけ。2013/05/03
さく
4
ちゑさん、お見合いの結果はいかに?傷心の壽子と松太郎はどうなる?というところで前作が終わっているのでその続きが分かったのはすっきり。みんなそれぞれ大人になる。ただし家庭や仕事第一で東京での句会が続けられなかったところは残念。三人三様に戦争に巻き込まれ話のスケールは大きくなるが、これはもう続編ではなく違う小説という印象だった。俳風三麗花の続編でなければ満州を舞台にした物語は読まなかっただろうから良い機会だったと思う。映画のラストエンペラーを思い出した。ジョン・ローンもすでに還暦を過ぎた。感慨深い。2015/07/05