出版社内容情報
室町時代に開始された朝鮮通信使派遣は、さまざまな曲折を経て、明治時代まで継続された。華やかな外交使節団の裏面史を描く6話。
内容説明
日朝外交を長く担った「朝鮮通信使」。その知られざる奇譚を描き、両国関係の真の姿を白日の下にさらす問題作。
著者等紹介
荒山徹[アラヤマトオル]
1961年富山県生まれ。上智大学卒業後、新聞・出版社勤務を経て朝鮮半島の歴史・文化を学ぶため韓国に留学。99年『高麗秘帖』でデビュー。2008年『柳生大戦争』で第2回舟橋聖一文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
魔魔男爵
3
普通の荒山作品では、巨大怪獣や巨大ロボットを操る朝鮮妖術師が、日本に潜入する隠れ蓑として使われるだけの朝鮮通信使の歴史を、真面目にセンスオブワンダーな史観で書いた、世界で唯一人荒山先生にしか書けない話。怪獣も妖術も忍法も無し(山風の『柳生十兵衛死す』の能タイムトラベル理論を考察するネタはあるがw)だが、僕らのヒーロー柳生宗矩クンは出ます。真面目でせつないホモネタがあるのが、さすがジェンダー観が素晴しい21世紀最高の歴史小説家の荒山先生です。マスゴミの評価に洗脳されるなの意味も込めて司馬遼太郎の朝鮮物嘲う良2013/08/19
春風
3
荒山徹にしてはおとなしめの短篇集だけど、2007年の「朝鮮通信使400年」を全力でdisってるあたりの大人げなさが素敵。2011/06/13
辺野錠
2
荒山徹としてはおとなしめだけどちゃんと伝奇してる短編集。話のバリエーションも幅広くて面白かった。ある短編は「おお、前のあの話のサイドストーリーか!」と思ったら全然違う地点に着地していい意味で「こう来るか!」と思った。あと別の話のオチは最初よくわかんなくてしばらく考え込んだよ。他にも前の作品で名前に見覚えある人もいたけど忘れちゃったなあ。最後の短編は本当に先生ノリノリで書いてるんだなあと思った。小説じゃなくて座談会形式だし。あとそれの途中の言葉が先生が本当に言いたいことなんだろうなあとも思った。2012/01/30
六番
1
朝鮮通信使と秀吉の会見シーンがへうげものと全く一緒で感心した。ちゃんと資料に基づいた描写だったんだなへうげもの。荒山先生は嘘ばかりつくけどこういう部分では信用できるから不思議2013/12/08
紫
1
荒山徹先生の歴史小説短編集。ごくごくオーソドックスに、真っ当に、直球勝負に日朝文化交流を描いた作品群であります。といっても、一つ、恐ろしく浮いている作品があるんですが。「十兵衛両断」所収の某作のセルフパロディ。元ネタとのギャップがとんでもないことになっております。「ここでこの人が出てくるか!」てな感じの一休さんと伊藤博文が素晴らしい。一つ一つが短め、薄めなのがちと残念。星4つ。2012/10/17