出版社内容情報
巨大で透明なドームに封鎖された小さな町に恐怖と狂乱が充満する。町民たちは脱出できるのか? 恐怖の帝王キング、畢生の大作登場。
内容説明
町はビッグ・ジムの手に落ちた。悪辣な陰謀が人々を陥れてゆく。煽動された暴動。演出された流血。罪なき者は踏みにじられ、焼き尽くされ、投獄される。法も秩序も良心も“ドーム”のなかに手を伸ばすことはできない。陰謀の総決算は臨時町民集会―そこで反対勢力は弾劾され、死刑を宣告されるだろう。ビッグ・ジムへの反撃を目論む元兵士バービーと医師助手ラスティらは、天才少年ジョーと仲間たちが山奥で“ドーム”発生装置とおぼしき謎の機械を発見したことを知る。しかしビッグ・ジムの弾圧の手は容赦なく彼らに及び…。蓄積しきった圧力が解放されるときがきた。恐怖にうち克つのは生きとし生けるものの生命の尊厳。圧倒的な筆力とイメージで恐怖と怪異、その末の浄化を描いたあのキング、ここに復活。
著者等紹介
キング,スティーヴン[キング,スティーヴン][King,Stephen]
1947年、アメリカ、メイン州生まれ。1974年に『キャリー』で作家デビュー。恐怖小説をアクチュアルな現代小説に再生した「モダン・ホラー」の巨匠
白石朗[シライシロウ]
1959年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
107
キング既刊3番目にボリュームある長編と云う本作は、このタイミングでなければもっと早くに読み終えたであろうほどに、中弛みのない読みごたえ十分な力作でした。そしてこの物語の着地点として選択した結末は…知恵持つ存在がいかに他者の痛みに無関心で残酷にふるまえるものか?作者は超越者のオモチャ箱とも云えるこの設定において、現在進行形で世界中で繰り広げられる人間の営みに対比して問いかけてきます。2017/10/15
アーチャー
67
狂気と絶望に魅入られた人々と、わずかな希望を持った人々に分け隔てなく襲う終焉を圧倒的な筆致で描いた作品だが、その後訪れる死と生を静かに描くかれたところにキングのすごさとうまさを感じる。〝人が死にしすぎる〟とか〝長すぎる〟といったキング批判があるのも仕方ないとも思うが、この物語にはそういった批判部分を省くことも許さない深さすら感じるし、242ページの〝ぼくたちは遅かれ早かれ、どこかで賭けに出るしかないのさ〟という言葉に本書の真髄を見せられた気がする。2013/11/07
白のヒメ
48
人間が純粋なる好奇心によって虫眼鏡で蟻を焼こうとする時、蟻にどう抵抗が出来るだろうか。なす術もなく、蟻と化した人間達は神の放った炎から逃げ回るだけ。真の地獄絵図。希望なく二段組み1400ページの物語は一気に終盤になる。じゃあ蟻はどうすればいいのかとキングという神に尋ねながら読んでいたら泣けてきた。他人事ではない危機感だ。人間って一体なんだろう。物語が終わりその疑問を考えるも答えは見つからず。でも最後の文にあるように「裸でいるのを見たら可哀想だと思う気持ちがある存在」が私たちを造ったのだと、私も信じたい。2015/08/04
**くま**
47
上巻はひたすら「悪は勝つ」の鬱展開でうんざりしたけど、下巻はいよいよ状況が好転してきて良かった! パニック物好きじゃないので、ドームがどうとか(「デッドゾーン」みたいな)悪い政治家とか殺人とかあまり興味が持てなかったのですが、登場人物が結構好きな人が多くて引き付けられました。そのへんは「スタンド」に似てますね! ドームの正体が期待外れという意見が多いですが、私は人間のちっぽけさを感じられたのでOKです。後半の展開はキング作品の中ではかなり上位に入るラストになったのでは? 上巻でリタイアはもったいない!2014/04/13
トムトム
43
すごく読んだ!と思ったら、作品中では数日。あら驚き。最後は宇宙人?謎の生物が助けてくれる?いや、この最後なんだったんだろう?とりあえず、ハッピーエンドだったみたい。2019/07/14