出版社内容情報
サブプライム危機で大儲けした男たちが次に狙うのは「国家の破綻」。アイスランド、アイルランド、ギリシャ、ドイツ、そして日本。
著者のマイケル・ルイスはサププライム危機で大儲けした一握りの男たちを取材し、前作『世紀の空売り』を書きます が、本作『ブーメラン 欧州から恐慌が返ってくる』は、その中の一人を、ダラスに訪ねるところから始まります。ときは二〇〇八年末、 世界中が、リーマン・ブラザーズの破綻に始まる世界的な経済危機に上へ下への大騒ぎをしているころの話です。地下要塞に、バズーガやマシンガンをため込むその風変わりな男の関心はすでに、サブプライムにありませんでした。
男は、ギリシアは二年以内に破綻する、それはユーロ崩壊の引き金になる、その崩壊に自分は賭けているのだ、そうなったときには、貨 幣も何も信じられない、頼りになるのは金と銃だ、そういって武器庫を著者に見せたのでした。 映画『マネーボール』も大ヒットしたマイケル・ルイスの最新作はずばり欧州危機を描きます。 国ごと丸々ヘッジファンドになり、住宅ローン仕組み債など、世界中のボロ資産を買いあさり、世界同時金融危機で海の藻屑のようには じけ飛んでしまった漁師の国、アイスランド。公務員が民間企業の3 倍の給料を貰い、ユーロ加盟の条件を満たすために、外資系投資銀行に多額の手数料を払い込み、なんと国の財務諸表を「粉飾」していたギリシャ。外国から膨 大な資金を借り入れ、不動産融資に狂った伝統ある銀行と共に、国ごと破綻したアイルランド…。そして、こういった破綻した欧州の国々 を支える、勤勉で、財政規律を守っていたドイツ。 バブルの崩壊と膨張は、その国ごとまったく違う顔がありました。誰もが自分のことしか考えないとき大事なものが失われる。その危機 はブーメランのように我々に返ってきます。
内容説明
誰もが自分のことしか考えないとき大事なものが失われる。見たこともない巨額の金が押し寄せたとき、そしてその金が引き潮のように消えてしまったとき、人間はどう狂うのか、国はどう変わるのか。欧州危機を描きながら本書は、私たちの経済と生活にブーメランのように返ってくる。
目次
序章 欧州危機を見通していた男
第1章 漁師たちは投資銀行家になった
第2章 公務員が民間企業の三倍の給料をとる国
第3章 アイルランド人は耐え忍ぶ
第4章 ドイツ人の秘密の本性
第5章 あなたの中の内なるギリシャ
解説 それぞれの不幸(藤沢数希)
著者等紹介
ルイス,マイケル[ルイス,マイケル][Lewis,Michael]
1960年ニューオリンズ生まれ。プリンストン大学から、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに入学。1985年ソロモン・ブラザーズに職を得る。ちょうど、ソロモンが住宅ローンの小口債券化を開発した時期に立ち会い、その債券を売ることになった。その数年の体験を書いた『ライアーズ・ポーカー』(1990年 角川書店)で作家デビュー。金融ノンフィクションの古典となった。2008年のリーマン・ショックを引き金とする世界恐慌のさなか、この恐慌を予測して大相場をはった一握りの男たちのリストを入手し、『世紀の空売り』(2010年 文藝春秋)を著す
東江一紀[アガリエカズキ]
1951年生まれ。北海道大学卒。ドン・ウィンズロウ『犬の力』など訳書多数
藤沢数希[フジサワカズキ]
欧米の研究機関にて、計算科学、理論物理学の分野で博士号を取得。科学者として多数の学術論文を世界的なジャーナルに発表する。その後、外資系投資銀行に転身し、経済動向の予測、リスク管理、トレーディングなどに従事している。主宰するブログ「金融日記」は月間100万ページビュー。ツイッターのフォロワーは6万人に及ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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