ブーメラン―欧州から恐慌が返ってくる

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  • サイズ B6判/ページ数 243p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163749006
  • NDC分類 338.23
  • Cコード C0098

出版社内容情報

サブプライム危機で大儲けした男たちが次に狙うのは「国家の破綻」。アイスランド、アイルランド、ギリシャ、ドイツ、そして日本。

著者のマイケル・ルイスはサププライム危機で大儲けした一握りの男たちを取材し、前作『世紀の空売り』を書きます が、本作『ブーメラン 欧州から恐慌が返ってくる』は、その中の一人を、ダラスに訪ねるところから始まります。ときは二〇〇八年末、 世界中が、リーマン・ブラザーズの破綻に始まる世界的な経済危機に上へ下への大騒ぎをしているころの話です。地下要塞に、バズーガやマシンガンをため込むその風変わりな男の関心はすでに、サブプライムにありませんでした。
 男は、ギリシアは二年以内に破綻する、それはユーロ崩壊の引き金になる、その崩壊に自分は賭けているのだ、そうなったときには、貨 幣も何も信じられない、頼りになるのは金と銃だ、そういって武器庫を著者に見せたのでした。 映画『マネーボール』も大ヒットしたマイケル・ルイスの最新作はずばり欧州危機を描きます。 国ごと丸々ヘッジファンドになり、住宅ローン仕組み債など、世界中のボロ資産を買いあさり、世界同時金融危機で海の藻屑のようには じけ飛んでしまった漁師の国、アイスランド。公務員が民間企業の3 倍の給料を貰い、ユーロ加盟の条件を満たすために、外資系投資銀行に多額の手数料を払い込み、なんと国の財務諸表を「粉飾」していたギリシャ。外国から膨 大な資金を借り入れ、不動産融資に狂った伝統ある銀行と共に、国ごと破綻したアイルランド…。そして、こういった破綻した欧州の国々 を支える、勤勉で、財政規律を守っていたドイツ。 バブルの崩壊と膨張は、その国ごとまったく違う顔がありました。誰もが自分のことしか考えないとき大事なものが失われる。その危機 はブーメランのように我々に返ってきます。

内容説明

誰もが自分のことしか考えないとき大事なものが失われる。見たこともない巨額の金が押し寄せたとき、そしてその金が引き潮のように消えてしまったとき、人間はどう狂うのか、国はどう変わるのか。欧州危機を描きながら本書は、私たちの経済と生活にブーメランのように返ってくる。

目次

序章 欧州危機を見通していた男
第1章 漁師たちは投資銀行家になった
第2章 公務員が民間企業の三倍の給料をとる国
第3章 アイルランド人は耐え忍ぶ
第4章 ドイツ人の秘密の本性
第5章 あなたの中の内なるギリシャ
解説 それぞれの不幸(藤沢数希)

著者等紹介

ルイス,マイケル[ルイス,マイケル][Lewis,Michael]
1960年ニューオリンズ生まれ。プリンストン大学から、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに入学。1985年ソロモン・ブラザーズに職を得る。ちょうど、ソロモンが住宅ローンの小口債券化を開発した時期に立ち会い、その債券を売ることになった。その数年の体験を書いた『ライアーズ・ポーカー』(1990年 角川書店)で作家デビュー。金融ノンフィクションの古典となった。2008年のリーマン・ショックを引き金とする世界恐慌のさなか、この恐慌を予測して大相場をはった一握りの男たちのリストを入手し、『世紀の空売り』(2010年 文藝春秋)を著す

東江一紀[アガリエカズキ]
1951年生まれ。北海道大学卒。ドン・ウィンズロウ『犬の力』など訳書多数

藤沢数希[フジサワカズキ]
欧米の研究機関にて、計算科学、理論物理学の分野で博士号を取得。科学者として多数の学術論文を世界的なジャーナルに発表する。その後、外資系投資銀行に転身し、経済動向の予測、リスク管理、トレーディングなどに従事している。主宰するブログ「金融日記」は月間100万ページビュー。ツイッターのフォロワーは6万人に及ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かんやん

31
リーマンショックの煽りを受けた欧州危機の十年前のリポート。①日本の最も人口の少ない県より人口の少ない島国アイスランドで投機熱が高まり、漁師が外貨建てで借金して海外資産を買い漁るように。自国通過が暴落すると借金が膨らむ。②公務員が民間の三倍給料を取るギリシャは当然財政難で、EU加盟のため財務を粉飾。③バブルに狂って建築ラッシュに沸くアイルランドの話は、どこかで聞いたことがあるような。④これらの国の国債を抱える上に、ウォール街にカモにされクズ債券をつかまされたドイツの銀行。なんかもう目も当てられないです。2021/10/20

くぼまー

6
いやぁ面白かった。アイスランド、アイルランド、ギリシャ、ドイツの国民性とそれぞれの国が抱える問題がよくわかる。当人たちにとってみれば「そんなに簡単にくくるなよ」ってな感じだろうが、日本にいると知ることのできない各国の事情が皮肉たっぷりの筆致で描かれ、読み物としては大変面白い。すべて鵜呑みにするのは危険だけどね。アイルランドもギリシャも観光する分には楽しいところだし人も親切なんだけどな。もう当分行けないかな・・・。2012/03/09

羊山羊

5
マネー・ショートという映画を見て以来、気にしていたマイケル・ルイスの本。欧州金融危機に関するルポタージュで、世界各国のひどい有様を皮肉たっぷりに書いた1冊。ギリシャの、気がつけばどんどん債務が膨らんでいく描写、金融危機の際に食い物にされたドイツの役回りへの鋭い洞察などは、単なるルポではなくこれからも起こりうることだと、言外に鋭く忠告している。「手に入るものを手に入るからという理由で手に入れ、もっと大きな社会的影響を考えようとしない人々の問題だ」本書の最終部分の1節だが、なかなかにぞくっとくる1文だ。良著。2018/02/19

多分、器用です

5
アイスランドの妖精の話が特に秀逸だった。漁業権の証券化が大量の博士を生み出して、その知識層が漁師のように勇敢な銀行員になった。2015/10/06

あっきー

5
アイスランド、ギリシャ、アイルランド、ドイツ、アメリカ(自治体)が金融危機にはまりこんでいった過程がわかる。世紀の空売りとは違って、金融の仕組み的なことへの言及は少なかった気がする。旅行紀のような感じで、各国の人、文化の違いがおもしろい。ドイツのくだりはうけた。2015/07/18

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