出版社内容情報
50歳を過ぎて仮釈放でシャバに出た布川事件の元被告二人。ノッポとチビの“冤罪コンビ”が社会と格闘、再審無罪を勝ち取るまで。
内容説明
獄中29年、仮釈放から15年。布川事件の“冤罪コンビ”が再審無罪を勝ち取るまでの軌跡。
目次
序章 「壁のうた」コンサート
第1章 ショージとタカオの仮釈放
第2章 獄中の青春
第3章 壁は外にもあった?
第4章 事件の夜
第5章 犯人じゃないという証拠を探せ!
第6章 伴侶現れる
第7章 私の挫折とショージとタカオ
第8章 快挙!そして…
第9章 フツーのおじさんになる日
著者等紹介
井手洋子[イデヨウコ]
佐賀県出身。明治学院大学文学部卒業。1985年、ドキュメンタリー映画の世界に入る。羽田澄子監督などの助監督を務めた後独立し、フリーの映像ディレクターとして企業PRを中心に活動。『仕事 君はどう思う?』『東京のモダニズム建築 学校篇』など120本以上の作品を手がける。初の自主製作ドキュメンタリー映画である『ショージとタカオ』は2011年3月に劇場公開され、文化庁映画賞文化記録映画大賞、毎日映画コンクールドキュメンタリー映画賞など数々の映画賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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ばんだねいっぺい
26
こういう偉い人の話を読むと、自分も同じようにできるだろうか?と考える。代用監獄という警察有利の自白誘導により冤罪の罪を背負い、四半世紀以上も自由を奪われた布川事件のふたりのドキュメンタリー。2019/05/28
sasha
7
再審無罪まで44年、そのうち29年が獄中生活。仮釈放された時、ふたりは既に老齢に達していた。そこからの社会復帰には計り知れない苦労があったのだろう。それでも、ショージくんとタカオちゃんの明るさと前向きな姿勢に救われる。勿論、トラウマだって抱えているのだけどね。2011年に再審無罪を勝ち取ったふたりの、その後の人生は幸せだったのだろうか。2023/10/27
天の川
7
強盗殺人事件「布川事件」で無期懲役から再審無罪を勝ち取った二人のドキュメンタリー映画を制作された監督、井手洋子さんの本。井手さんの二人に対する誠実な向き合い方が伝わり、重苦しくならず読めました。とは言え、罪に陥れられる冤罪の恐ろしさ、再審の壁の厚さ、世間の目、社会復帰の難しさ、お互いに対する恨み、家族を持って得られた安らぎ…たちの悪いチンピラだった二人が地獄から生還し、再生していくのは、決して綺麗ごとですまない茨の道だったと思います。今回の事件の捜査手法や証拠の操作は犯罪行為だと憤りつつ、他の多くの⇒2012/08/20
ぐうぐう
7
映画『ショージとタカオ』の監督自らが綴るメイキング本。映画をなぞるような記述にやや肩透かしを覚えたのも束の間、やがて、映画を肉付けするような記述も増えていく。そこには、カメラを回し始めたときですら布川事件をまるで知らなかったとする正直さと、それでいてメディアではいち早く布川事件を追うことになり十年以上二人を記録してきてなお、それが公開に値するものであるかどうか悩むという気弱さが、逆に監督・井手洋子の特異さであり、誠実さなのだと気付かされる。(つづく)2012/05/04
エドバーグ
6
検察 裁判所が、冤罪についての原因分析と今後の対策を表明してほしいと つくづく思います。これを読むと先進国で死刑廃止となった根拠が少し理解できました。2020/02/24