出版社内容情報
14万部を越えるベストセラー「つなみ 被災地のこども80人の作文集」。その背景にある家族喪失の悲劇、再生への日々を追う。
内容説明
18万部のベストセラーとなった作文集から生まれた、10の家族の喪失と再生のドキュメント。作文を書いてくれた子どもたちの「その後」。
目次
中村まい(仙台市若林区東六郷小学校二年)―大切なものを流されて
鈴木智幸(石巻市渡波小学校二年)―避難所という癒し
鈴木啓史(石巻市東松島高校一年)―不良息子奮闘記
平塚俊彦・真人(女川町女川第二小学校六年・四年)佐々木莉奈(石巻市釜小学校二年)―えびすご兄弟
佐々木悠(南三陸町志津川小学校六年)―みんな知り合いでみんな家族
鈴木愛(気仙沼市気仙沼中学校一年)―父と娘の「復興計画」
洞口留伊(釜石市鵜住居小学校三年)―理想のマイホーム
八幡千代(大槌町大槌小学校五年)―一番大事な娘と一番大好きな妻
黒沢菜緒佳(大槌町大槌中学校二年)―それでも赤浜で暮らしたい
牧野アイ(田老村田老尋常高等小学校六年)―「津波残り」として生きる
終章 悲劇はなぜ繰り返されたのか
著者等紹介
森健[モリケン]
ジャーナリスト。1968年東京都生まれ。早稲田大学法学部卒。「文藝春秋」「週刊文春」をはじめ各誌で人物ルポ、経済記事を中心に執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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遥かなる想い
181
第43回(2012年)大宅壮一ノンフィクション賞。 東日本大地震で 被災した 子供たちが 書いた作文集に まつわる作品である。 一瞬にして 大切なものを奪っていった 「つなみ」…突然 突きつけられた 愛する人の死を 背負いながら、 笑顔で 前向きに 生きていこうとする… 子どもたちの笑顔が 復興の原動力に なっている…そのことを確実に 実感できる、そんな作品だった。2018/05/06
おさむ
46
東日本大震災で被災した子どもたちが書いた作文。つたないながらもその文章のもつ力に驚くと同時に、作文の背後にある子どもたちやその家族の生き様を描く。読んでいるうちに何度も涙腺がゆるみました。大人も子どもも大きな疵を抱えながらも、ひたむきに前を向いて生きる。その姿勢にこちらが励まされます。この本のきっかけともなった、東北の過去3回の津波の記録を丹念に追った故・吉村昭の「三陸海岸大津波」を読みたくなりました。2012年の大宅壮一ノンフィクション受賞作。2016/01/29
アルピニア
40
八年目の3/11に。東日本大震災に遭いそのことを作文に綴った子どもたちとその家族への取材をもとに書かれたドキュメント。震災直後から半年後までの様子がまとめられている。震災の夜、妹を気遣いながら水や食料の調達に走り回った高校生が避難所生活で家族にもらした言葉「なにを頑張ったらいいのかわからない」に心臓を握られたような苦しさを感じた。みんなどうしているだろうか。夢を抱いて前を向いて進んでいることを祈らずにはいられない。あの震災を忘れずに、自分にできることを続けていきたい。2019/03/11
mizshnami
31
先日、石巻~牡鹿半島を訪れた。震災から3年以上経っているのだが、横倒しになったビルが未だにそのままになっていることなどから、映像だけではわからない津波の破壊力にあらためて衝撃を受けた。また、偶然にも現地の方のお話を拝聴することができた。大変貴重な体験だったが、自分が当時の気持ちを忘れてしまっていたことにも気づいた。今後もジャーナリストの方々には温かく寄り添った取材を続けていただきたいと思う。2014/08/08
roomy
25
離れたところにいると報道されているだけでしか知ることができないのが普通で実際にはどれくらい復興されているのかもわからない。子どもたちの心の痛みに涙がでる。大人だって辛いことだから。亡くなった人の分まで頑張って生きるって思っている子が多いけれど私は自分のために一生懸命生きればいいと思う。ライブラリー本。2016/07/26