出版社内容情報
能の「翁」に隠された黒い怨念、人間中心主義を覆す新しい思想の創造……齢八十を超えた哲学者の貧欲なまでの知的探求と思索の日記。
内容説明
齢八十を過ぎてなお、老哲学者は世阿弥に取り憑かれ、親鸞研究の通説に疑問を呈し、深まりゆく人類の危機に懐疑と勇気をもって立ち向かう。ますます鋭さを増す「梅原日本学」の千本ノックともいうべき、思想的日記「思うままに」シリーズ第九弾。
目次
野球という文化
能について
天命を知る
ヨクカクレルモノハヨクイキル
鎮魂譜1 黒川紀章
演出家猿之助の復活
過去の喪失
野球の主役は監督か
鎮魂譜2 前田常作
鎮魂譜3 野村東太〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
肉尊
6
世阿弥に憑依された筆者が怒濤の勢いで書き綴った一冊。和辻哲郎の旧宅にお住まいだけあって、様々な動物が庭先に現れているとそうです。そんなほのぼのとした日常や、時の政権に対する痛烈な批判など、緩急入り交じった感じで話が綴られてゆく。タイトルの世阿弥や親鸞に対する実証的アプローチよりも、ソ連崩壊やオバマ大統領の広島訪問など、先見の明は確かなもので、将来に対する大切な提言がなされているのではないか、という方が気になりました。2017/09/05
ミッキー
1
能について学ぶきっかけが出来たのはとても嬉しいことです。また、自由な心持ちの素晴らしさも分かります。出会えて良かった。2019/02/05
あきこ
1
梅原氏が新聞に綴ったコラムのまとめ本である。思想家である作者は親鸞、世阿弥から政治、芸術、自宅の庭にくる動物など登場人物豊かに、その時の思いを寄せている。時の世相や権力者に憚ることなくバシバシと意見している。高齢であるが気力に満ちている。親鸞についての謎の考察は興味深く読んだ。2016/04/05