出版社内容情報
原爆ドームの隣に生まれ育ち、両親と弟を一瞬にして失った著者が、私財をなげうってCG映像に再現したのは美しい町並みと昭和の心だった。
内容説明
CGによる爆心地復元事業を始めて十三年。原爆ドームの隣に生まれ育ち、両親と弟を失った著者が描く、原爆で失われた古きよき廣島とその街に生きた人びと。
目次
第1章 廣島からヒロシマへ(その日、田邊家の人びとは;失われた「猿楽町」 ほか)
第2章 失われしものを記憶に刻むために(還暦の年のお彼岸に;映画との出会い、運命の夏休み ほか)
第3章 廣島を知る最後の子どもたち(学徒動員で爆死は免れたものの;疎開先で両親を待ち続けた少年 ほか)
第4章 原爆投下から六十五年目のニューヨークで(感動したこと、落胆させられたこと;コロンビア大学での質疑で)
著者等紹介
田邊雅章[タナベマサアキ]
1937(昭和12)年、広島市生まれ。生家は産業奨励館(原爆ドーム)の東隣り。日本大学芸術学部映画学科卒業後、中国新聞社に入社。1975(昭和50)年、株式会社ナック映像センター設立。2007(平成19)年、爆心地復元事業の功績に対して広島市民賞、2008年に広島文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
0717
10
広島の平和記念公園には行ったことがないのですが、地図で見ると広大な公園のようですね。著者は産業奨励館(現在の原爆ドーム)のすぐそばに自宅があったそうで、今は公園ですが昔は活気ある街があり人々が暮らしがあり、その原爆投下前の街並みや生活、風物を再現する活動をなさってます。原爆のことには触れたくないと思っていたそうですが、修学旅行の女子高生が原爆ドームの前でVサインで写真を撮るのを見て、かつてこの地で何があったのか、きちんと伝えないといけないと思われたそうです。2018/09/02
カープ坊や
4
素晴らしい本に 巡りあいました。 久し振りに本を読んで号泣しました。 広島生まれ広島育ちの私が 今まで本書の存在を知らなかったことは不徳の致すところです。 原爆ドームの横に家があり 只一人生き残った少年が あの日の惨劇を綴る本ですが、 資料が凄い! 原爆投下前の 原爆ドーム近隣の写真の数々! CGによる街並みの再現! 皆様に 50年先 100年先まで 読み続けてもらいたい本でした。 [追伸] 唯一の被爆国日本政府が 国連の核兵器禁止条約に反対するとは 安倍首相には がっかりです。 2013/05/13
らぴ
4
原爆ドームと呼ばれる建築物の隣に住んでいた筆者が、忘れたい記憶として封印していた原爆の想い出。還暦を迎えたある日、平和記念公園でカメラのシャッターを押して欲しいと頼んできた修学旅行の女子高生たちが無邪気にピースサインをするのを見て、この地でどんなことがあったのかを後世に伝えたい、と現在公園になっているその地に住んでいた人々の生活や町並みを再現した記録映画を撮影したという。わたしも今年平和記念公園を訪ねて初めて知った、そこにも暮らしがあったこと。原爆の残酷さを考えた。2010/12/16
ごいんきょ
2
我故郷、廣島。 戦後生まれの私は原爆前の廣島を知りません。でもこの本を読むと、戦前の名残を子供の頃に見ています。 原発事故が騒がれている今、核の悲劇が二度と起こらない事を祈って止みません。2011/04/01
ゆずこまめ
1
写真が多く、原爆によって一瞬で失われたものがイメージしやすい。何気ない日常が一瞬で失われ、二度と戻らない。著者にとって過去と向き合うのは辛かっただろうと思う。2021/04/12