内容説明
英国で現役記者から聞いた、報道の理念。容疑者の顔写真を逮捕前から掲載、乱痴気パーティーを長文で報道……。なぜ英国の報道はこんなにも「なんでもあり」なのか?
目次
父と娘と容疑者―序に代えて
1章 ニュースの中の人々
2章 ニュースを書く人々
3章 ニュースと向き合う人々
4章 匿名社会と報道
スローなジャーナリズム―あとがきに代えて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
garth
3
この本を読むとなぜ日本の新聞がつまらなくなってしまったのかがよくわかる。英米の新聞の事件報道に比べて、日本の新聞がいかに味気ないことか。対処法ははっきりしていて、少なくとも今の倍の文字数で記事を書くこと。それに記者が(横並びの自主規制ではなく)主体的に何を書いて何を書かないかを決めること、それだけだ。あ、あと「パーティをクラッシュする」っていうのは、別にパーティをぶち壊すんじゃなくて、「無許可で押しかける」って意味ですんで。2010/10/17
tenorsox
1
事件事故等の被害者、有罪の確定していない容疑者等を実名で報道する必要性について、英国の実情を例に出しながら(時にその過剰ぶりを認めながら)訴えている。正直なところ、必要だとする理由(メリット)もそのために守るべきというルールも、身勝手かつ説得力に欠けると感じる内容がほとんどで、記者は皆その狭間で苦悩しているというがそれも免罪符的に言い繕っているようにしか思えなかった。 英国の記者がどう考えているか(&割り切っているか)、その背景にはどんなお国の事情があるのか等といった観点では興味深く読めた。2019/01/12
flcdd
1
面白かったです。2日かかりましたが比較的にサラサラ読める方ではないでしょうか。イギリスの事件報道は日本とは全く違うものだと思いました。それはニュースなのかと突っ込みたくなりましたが、ニュースが歴史の第1稿ならむしろれっきとしたニュースだと思います。日本のニュースがいまいち頭に入らないのは仕方のないことだと思いました。2011/10/02
どんちゃん
0
何でもかんでも匿名。そういう時代なのかな、となんとなく受け入れていたけれど、やはり、実名で顔写真付きで報道されるのとそうでないのとでは、インパクトがまったく違う。匿名では、本に載る症例と変わらない、というのは納得。死刑についての話も印象に残った。2017/11/03
渓流
0
お国の文化・社会のあり様の違いがニュースに出る、当たり前だけど、興味深い。事件の当事者のみならず周りの人々の微細で繊細な情報まで白日の下に晒す英国と例えば買春を不適切な行為をした会社員などとオブラートに包んだように報道する日本、果たしてどちらに人権尊重の精神が満ち満ちているのやら、そんな事どもも感じる本であった。2011/04/27