昭和十七年の夏 幻の甲子園―戦時下の球児たち

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  • サイズ B6判/ページ数 345p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163727806
  • NDC分類 783.7
  • Cコード C0095

出版社内容情報

朝日主催から文部省主催に変更して強行された昭和17年の甲子園大会。球児たちの引き裂かれた青春の虚実を描くノンフィクション大作!

内容説明

昭和十七年六月五日に始まったミッドウェー海戦大敗直後の六月二十四日、文部省が前年中止になっていた甲子園大会の開催を知らせる通達を出した。だが、大会の主催者は大阪朝日新聞社ではなく文部省だった。「一片の通牒のほか何等委曲を盡すことなかりし当局の態度に対しては、遺憾を禁ぜざるものがある」(「朝日新聞」七月十二日付社告)。今も朝日新聞社の記録では「昭和十六年~二十年戦争で中止」となっている甲子園大会が、なぜ昭和十七年夏だけ文部省によって開催されたのか?戦意高揚のため特異な戦時ルールが適用され、「選手」としてではなく「選士」として出場し選手交代も認められず、大会後は「兵士」として戦場へ向かった多くの球児たちの数奇な運命を辿る傑作ノンフィクション。

目次

京王商業vs.徳島商業(一回戦)
水戸商業vs.滝川中学(一回戦)
敦賀商業vs.福岡工業(一回戦)
台北工業vs.海草中学(一回戦)
北海中学vs.広島商業(一回戦)
大分商業vs.仙台一中(一回戦)
一宮中学vs.松本商業(一回戦)
市岡中学vs.平安中学(一回戦)
水戸商業vs.徳島商業(二回戦)
海草中学vs.福岡工業(二回戦)〔ほか〕

著者等紹介

早坂隆[ハヤサカタカシ]
昭和48(1973)年、愛知県出身。ルポライター。日本文藝家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Kaz

19
徐々に寒さが緩んでる今日この頃だけど、日本の春はセンバツから。そんな中、読んでます。何であれ、平和であるというとこは何よりも大切。どんな事情があろうとも、戦争を正当化できる理由などあるわけがない。これだけは忘れないようにしないとね。2014/03/05

田中寛一

19
高校野球開始から今年は百周年の年。しかし大会は97回。アレッと思い出会ったのがこの本。太平洋戦争中に今までの高校野球は中止させられながら、文部省主催で1942年だけ開催された。戦意高揚が目的だから「戦士」として途中交代もできないという。その死闘の様子が記録と関係者の証言を元に第1試合から決勝戦、そしてその後の様子について詳細かつ感動的なルポ。空襲を受けた徳島で進駐軍と野球の試合がわだかまりもなく行われたことは心暖められた。戦争は人の心もスポーツ精神さえもなんと歪めてしまうものなのか。2015/09/05

北本 亜嵐

9
戦局が悪化する中の昭和17年の夏-いつもの「甲子園」とは違う大会が行われた。主催者が文部省とその外郭団体で行われたので「幻の甲子園」と呼ばれている。選ばれた16校の選手たちは懸命に白球を追い、チームの勝利を信じて戦い、その息遣いが文章から伝わってくる。野球というスボーツの素晴らしさを堪能しました。2015/05/20

タカラ~ム

7
今年(2015年)は、夏の高校野球100周年の記念の年である。折しもこのレビューを書いている8月6日には、開会式が行われ、早稲田実業OBでもある王貞治氏が始球式を行った。100年の歴史を有する高校野球にも、戦争は暗い影を落とした。本書は、夏の甲子園が中止となっていた昭和17年に行われていた幻の甲子園大会を描くノンフィクションである。厳しい時代の中で戦意高揚の手段として開催された大会。それでも球児たちは必死に躍動した。その思いは今の時代にも通じる熱きものがあると感じた。2015/08/06

チャメ

3
戦時中、中止していたはずの甲子園大会が実は一度だけあった。主催者は朝日新聞でなく文部省であったため、今見る大会記録にも残されず、まさに幻の甲子園となった。70年前のことなのに、スコアブックと取材に基づく詳細な試合経過に舌を巻く。基本的には「熱闘甲子園」方式で、試合に負けたチームと選士(選手ではない)に光をあてるが、大会後に戦死するなど悲壮な事実で各話が結ばれる。平和な時代に思いっきり野球をやりたかったと当事者は言う。時代は違えど、人には平等に青春があっていいはずだ。蛇足:著者は素敵な日本語を駆使しますね。2015/07/07

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