日本人の戦争―作家の日記を読む

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  • サイズ B6判/ページ数 266p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163715704
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0098

出版社内容情報

あの戦争の深層をあぶりだす渾身の作。
生涯かけて日本人と日本文学を見つめ続けてきた巨匠評論家が、作家たちの戦中、戦後の日記を精緻にダイナミックに読み解いた労作。
太平洋戦争を歴史上の一大事件と確信した作家たちは、事態を刻一刻と記した。永井荷風、高見順、伊藤整、吉田健一、山田風太郎らの戦中、戦後の日記を精緻に読み解くことで、日本人の行動と精神の軌跡を分析し、日本人とは何かを抉り出す。

内容説明

戦争という惨禍と変化の時代に日本人であるとはどういうことか。永井荷風、伊藤整、高見順、山田風太郎、吉田健一らの戦時の日記から日本人の精神をすくい取る傑作評論。

目次

第1章 開戦の日
第2章 「大東亜」の誕生
第3章 偽りの勝利、本物の敗北
第4章 暗い新年
第5章 前夜
第6章 「玉音」
第7章 その後の日々
第8章 文学の復活
第9章 戦争の拒絶
第10章 占領下で

著者等紹介

キーン,ドナルド[キーン,ドナルド][Keene,Donald]
1922年、米国ニューヨーク生まれ。日本文学研究者、文芸評論家。コロンビア大学に学ぶ。米海軍日本語学校で学んだのち情報士官として海軍に属し、太平洋戦線で日本語の通訳官を務めた。戦後、ケンブリッジ大学、京都大学に留学。1955年からコロンビア大学助教授、教授を経て、同大学名誉教授。2008年に文化勲章受章

角地幸男[カクチユキオ]
1948年、東京生まれ。早稲田大学仏文科卒。ジャパンタイムズ編集局勤務を経て、城西短期大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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Cinejazz

7
アメリカ海軍の情報士官として太平洋戦線で日本語の通訳官を務めたドナルド・キーン氏が、戦争(大東亜戦争)への想いを日記にしるした日本人作家の思想と心理の変化を追ったドキュメンタリー。警察の監視の眼を逃れながら、開戦当時から軍部に反感を抱き続けた作家(永井荷風)、戦争遂行の強硬論を唱え戦意高揚を掲げた作家(伊藤整、山田風太郎、海野十三、徳富蘇峰・・)、無条件降伏後の表現の自由により呪縛から解放された作家(高見順、德川夢声)など、戦争という狂気の沙汰で揺れ動く人間心理の脆弱性が垣間見える不幸な時代の記録。 2021/06/05

ポン・ザ・フラグメント

7
昔、林房雄が小林秀雄との対談で「自分の国が戦争をしているときに敗けろと思う者はいない」と言っているのを読んだ記憶がある。当事者として戦争の渦中にあって、客観的視点を持つことなど誰にもできない。その意味では、ここに引用された作家たちの誰が正しいとか考えることには意味がない。むしろ空襲の後にアメリカを恨む気持ちこそ納得できるのであって、それを戦後も持続できないことの方が不可解なのだ。台風、地震と頻繁に災害に見舞われる日本人は、悲惨すぎる悲劇についてはあえて拘泥しないという精神防衛法を選んでしまうのだろうか。2016/09/20

Miho Haruke

3
こないだNHKのクローズアップ現代をちらっと見たら「ライフログ」の流行について紹介していたが、今に始まったことでなく『更級日記』やセヴィニエ夫人の昔から日記・書簡からは目が離せないものだ。何とない日常の記録でそうなのだから、いわんや不謹慎ではあるが戦争・大地震など非常時・国難に直面した日々の記録をおいてをや。個々の人々の心のありようというものが、大きな何かの形になってくる。2012/04/11

狭山山広

2
日本人が欧米を圧倒した開戦当初の興奮が少しは伝わった。 めちゃめちゃ教養のある知識人もコロリと鬼畜米英を標榜するナショナリストに早変わりしちゃうところにナショナリズムのおっかなさを感じる。 反戦教育をするなら戦争の悲惨さだけを教えるんじゃなくて、この国民が戦争を肯定するに至った興奮、楽しさといった面もセットで教えていたほうがいいのかも。2024/04/12

あけの

2
読んだ! 消化はまだできてない 荷風よみたい2022/09/11

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