内容説明
文学の獣が、叫び、泣き、疾駆する。現代文学の巨人、中上健次の生と死を天与の筆で描ききった傑作評伝。
目次
第1章 路地へ
第2章 変身
第3章 パッシング
第4章 故郷を葬る歌
第5章 わが友連続射殺魔N
第6章 父になる
第7章 出世作
第8章 核を食らう獣
第9章 光をあびて
第10章 言の葉の海
第11章 熊野に死す
著者等紹介
高山文彦[タカヤマフミヒコ]
1958年(昭和33年)宮崎県高千穂町生まれ。法政大学文学部中退。1999年刊の『火花 北条民雄の生涯』(飛鳥新社、のちに角川文庫)で第31回大宅壮一ノンフィクション賞と、第22回講談社ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読で活字が躍る本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
8
読み終えて、もう一度中上健次の若き日の小説を読み返したくなってしまった。部落差別や天皇制をめぐる問題に良かれ悪しかれスマートに/あっさりと触れつつも、本書は中上健次の若き日の足取りを丁寧に追い掛けたルポルタージュとして読めるのではないかと思う。中上健次を読んでいない人間を著作に引き込む力は備えていると思う反面、あまりにも手つきがスマートに過ぎるのでもっとディープな読み込みをやっても良いんじゃないかな……と言うのはないものねだりかな(つまらないとかそういうことを言いたいわけじゃないので誤解なさらないように)2016/04/05
ぐうぐう
6
放蕩な父、自死した兄、そして路地により自縛されていたナカウエケンジが、いかに小説家ナカガミケンジとなったか、そしていかに生をまっとうしたかを記した評伝。父、兄、路地という、中上を縛っていたそれらが、作家としての血肉となり、独特の作風を生み出していく過程が凄まじい。生き方がそのまま小説と化していく中上の、作家としての圧倒的な存在感は、中上亡きあとも、残された作品に込められた魂として生き続けている。2009/03/07
ほまれ
1
キノシタがスズキに、ナカウエに、そしてナカガミになっていくまでの半生を、没入するように綴った伝記。「デブケン」呼ばわりされてるところとか、編集者から批評されて気弱になるところとか、かなり共感できる。そして彼が、出自や才覚はもちろんのこと、その執念によって小説家として身をなしたんだと悟った。執念、驕り、優しさ。2019/11/18
Akitatsu Yoshimi
0
出自、差別、偏見、世間。見えない敵と戦った男の物語。涙がでました。2012/11/09
giant_nobita
0
おもしろかったけど、『枯木灘』以降のこともちゃんと書いて欲しかったなぁ2011/08/29