内容説明
七十年間ずっと時計を修理してきた職人、介護地獄に向き合う元キックボクサー、“不倫のメリット”に悩む女性、レズビアンのシャンソン歌手、夢をみてオーディションを受け続ける若者たち…。ふと涙さそわれる21篇のコラム・ノンフィクション。
目次
東大の時計屋
プレゼント
ひとりの男だけを
殺意の階段
不倫のメリット
『コーラスライン』はここに
リボンと帽子
ワールドカップから遠く離れて
ヨネセンの算数
ギタリスト・ヤマジカスヒデ
親の見合い
藁をもつかむ
大晦日の夜と元日の朝
つらいもまた良し
マンガ家・柏木ハルコ
落選者
たったひとつの椅子をめざして
ベラフォンテと叔母さん
死の近くにいると
日曜日はいつも
雨にうたれて
著者等紹介
上原隆[ウエハラタカシ]
1949年横浜市生まれ。立命館大学卒。映像製作会社勤務のかたわら、雑誌「思想の科学」で編集・執筆活動をはじめる。その後、市井の人々の生き方に焦点をあてたルポルタージュ・コラムを執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おいしゃん
28
さまざまな人間ドラマを味わえる上原作品だが、本作は街中で無作為に選んだような、ごく普通の人が多め。そんな人たちだからこそ、「何者にもなれていない」というような彼らの悩みには、強く共感した。2022/10/07
才谷
4
これまで読んできた上原さんの本の中では暗いめの話が多いような。人間誰しも楽ではないんだなと改めて感じる。2022/07/18
バーベナ
2
まだ読んでいない著者の本に出会えると、ものすごくうれしくなる。華やかではない、普通の人(昔は特別だったけど、いまは違うとか・・・)の一日にそっと寄り添う。何かを成し遂げることは凄いと思うけれど、そうではなく、どんな人にも物語はあるという想いが伝わってくる。読後に、ただ生きているだけで良し、よく生き抜いてきたな・・と、そ~っと自分を肯定してあげたくなるよ。2014/05/16
kon
1
時計屋のおじいさん、刑務所から出た人、売れないバンドのギタリスト、漫画か小説家の卵、結婚できない人、ワールドカップの昔のチームメイトを見る人、そのほとんどがうまく人生を進んでいけなかった人々。誰もが主人公で、どこかうまくいかない物語を紡いでいる。ネットカフェの話とか、寂しい。そういう人々にインタビューして作った話はとても興味深いものだった。2018/10/27
ぴよ助
1
みんな、ちょっと切なくてドラマチック人生をそれぞれ生きているのね・・・相変わらず作者上原さんの目線が、穏やかで、優しげで、力が抜けます・・・2016/10/20