出版社内容情報
昨年、惜しまれつつ亡くなった著者の珠玉のエッセイと、名作「桜田門外ノ変」や「生麦事件」の創作秘話を収録したファン待望の一冊。
内容説明
最後の随筆集。
目次
「月日あれこれ」から(谷中墓地空襲の一夜;「事件」が「歴史」になる時 ほか)
「井の頭だより」から(苺のかき氷;図書館長 ほか)
歴史の大海原を行く(多彩な人間ドラマ;小説の書き出し にがい思い出 ほか)
日々の暮しの中で(近所の鮨屋。;こぶ平さんと正蔵さん ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホークス
42
時代小説などの作家、吉村昭氏最後のエッセイ集。取材の過酷さは想像を超える。終戦直前、撃沈された輸送船から雪の海に将兵が投げ出された。舟艇にすがりつく兵士の腕を、先に乗った将校たちが沈没を防ごうと軍刀で切った。腕の無い多くの遺体を弔った漁師に取材するが、「憲兵に止められているから」と口ごもる。終戦から25年後の話だ。何かを恐れ、かつ依存する精神風土に将校も兵士も包まれている。人間の問題か日本人の問題か。被弾、降下したアメリカの飛行士を斬首処刑した方にも取材している。今の物差しで裁いて済まない所に発見もある。2020/09/17
さざなみ
3
「十万円を下ろすのに十円玉がころりと」というエピソードに吉村昭という偉大な作家にもこんなほほえましい一面があり、それを辱めもなくエッセイに収めるというおおらかさに拍手を送りたい。 過去に読んだ沢山の本を書かれた時の裏話に接してもう一度読みたくなったり、未読の本も読みつくしてみたくなったエッセイでした。2021/07/04
とす
1
似たような話が多い。多いけれどイヤな気持ちにはならない。読んだことのある小説に関係する話などは大変興味深い。長崎が好きなことが伝わってきた。2016/07/04