内容説明
日本と日本人を解き明かす12の事件。
目次
光クラブ事件―「自我教」日本人の始まり
金閣寺放火事件―青年僧はなぜ?
草加次郎事件―連続爆弾魔の孤独
「暁に祈る」事件―正義の名の下に
下山事件―追い詰められた経営者
造船疑獄―「指揮権発動」が残したもの
山一日銀特融―エリートの甘え
三井三池炭塵爆発―産・官・学無責任の構図
三河島事故―過去に学ばない日本人
伊勢湾台風―忘れられた死者五千人の教訓
御成婚とミッチーブーム―皇室が最も開かれた日
東京五輪女子バレー―根性の時代
著者等紹介
柳田邦男[ヤナギダクニオ]
1936年栃木県生まれ。NHK記者を経て作家活動に入る。72年『マッハの恐怖』で第3回大宅壮一ノンフィクション賞、79年『ガン回廊の朝』で第1回講談社ノンフィクション賞、85年『撃墜』ほかでボーン・上田記念国際記者賞、95年『犠牲(サクリファイス)わが息子・脳死の11日』などで第43回菊池寛賞、97年「脳治療革命の朝」で文藝春秋読者賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こばまり
46
約20年前の文藝春秋誌上の対談鼎談を纏めたもの。山一廃業が見廻組佐々木只三郎から受け継いだ滅びの遺伝子によるとは怨念のような話ではないか。事故災害の分野に一章割き、これらを振り返り現代を論じる研究が少ないことを指摘。過去から学ばない日本人の特性か。2024/08/08
犬養三千代
8
日本という国のある意味「恥部」読んでて良かったと思える。知らなかったのが「草加二郎事件」だった。連続爆弾魔?!どんな心の闇があったのだろう。そして「造船疑惑」も詳しいこと知らなかった。三井三池炭塵爆発も知らなかった。昭和の汚点か!2024/06/09
大森黃馨
6
これまで私は思っていた日本は素晴らしい国だ誇れる国だとだがそれは漠然としたものでしかなかった日本は何と愚かな国なのだ(実際には日本に限らない人類の問題普遍的なものなのだろうが)危機感を覚えるだが柳田氏ですら今の自分からは当事者意識に欠けているように思える当著が発行されたのは2005年であるがそれから15年以上を経た今の我々はもしかしたら地獄の中を生きているのではないか 2023/01/24
やす
5
昭和の事件を現在の視点で再レビュー。焦点は過去の事件を生み出した日本人の心が今もそのまま残っているのではないとう作業仮説。JR西日本の尼崎脱線事故は記憶に新しいが、戦中の土浦脱線事故、昭和37年の三河島事故の教訓たるや現場でもっと気合を入れて安全に取り組めというもの。それじゃ教訓とは言えない。尼崎事故について安全よりも利益を優先したがためとの総括だが、その後のJR北海道の事件を見てもジャーナリズムの無力を感じる。2014/07/06
ゆう
1
過去の事件の概要と以後に起こった類似の事件を照らし合わせて時代背景の比較や共通項を見出す。各事件について詳しく知りたい人には向かないかも。でも言われてみるとたしかに似た事件や事故は繰り返されていて、この本が出た以降もそうだし、きっとこれからも同じ。だからこうして過去の事件を見直すことは意義があると感じた。本当は現場にいる当事者こそちゃんと考えてほしい。また、最後に昭和時代を長く生きてきた著者が身近にあった歴史上の出来事を語るのも臨場感があって面白かった2018/03/15