複眼の映像―私と黒澤明

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  • サイズ B6判/ページ数 306p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163675008
  • NDC分類 778.4
  • Cコード C0095

出版社内容情報

初めて明かされる秘密!共同執筆現場の格闘。
『羅生門』『七人の侍』『生きる』…黒澤明の絶頂期をともにした稀有なシナリオ作家が、その凄まじい体験のすべてをここに書きつくした!

内容説明

戦後を代表するシナリオ作家、橋本忍はどのようにつくられたか。本書は、盟友・黒澤明との交友、葛藤を通じて描いた、すべての映画ファンに捧げる真に個性的な自伝である。

目次

プロローグ―東京行進曲
第1章 『羅生門』の生誕(傷痍軍人療養所の戦友;生涯の恩師・伊丹万作先生)
第2章 黒澤明という男(『羅生門』;『生きる』;『七人の侍』;『七人の侍』2)
第3章 共同脚本の光と影(ライター先行形;いきなり決定稿)
第4章 橋本プロと黒澤さん(二人の助監督;『影武者』;『乱』)
第5章 黒澤さんのその後
エピローグ

著者等紹介

橋本忍[ハシモトシノブ]
1918年、兵庫県神崎郡市川町に生まれる。鉄道教習所を経て応召入隊中に結核にかかるが、その療養中シナリオにはじめて接して伊丹万作に師事、脚本家を志す。1950年、『羅生門』を監督する黒澤明との共同脚本でデビュー。『私は貝になりたい』(59年)では監督にも取り組み、三作品を監督した。1973年に橋本プロを設立、製作者として『砂の器』『八甲田山』の大ヒット作を送り出す。上記のほか主なシナリオ作品に『真昼の暗黒』『張込み』『切腹』『白い巨塔』『上意討ち―拝領妻始末―』『日本のいちばん長い日』などがあり、戦後の日本映画界を代表する脚本家である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おさむ

32
羅生門、生きる、七人の侍。黒澤明監督の三大作品で共同脚本をつとめた著者の回想録。作品が生まれるまでの経緯が赤裸々を描いており、面白い。ポン・ジュノ監督と浦沢直樹さんが対談で共に良書と褒めていたのも納得。黒澤はマンネリズムに陥らない為、1943年から54年まで共同脚本スタイルをとり大成功。音楽の譜面にも似たシナリオ(テンポとリズムが肝)だが、「生きものの記録」以降の作品は精彩に欠けた。幼い頃観た乱や影武者は面白さがよくわからなかったが駄作だったんだな‥‥。メディアの映画評がいい加減なこともよく分かりました。2021/01/10

きゅうり

8
良い脚本(ホン)を書くのは才能かひらめきかテクニックか?世界のクロサワと共同脚本を行った著者だから書ける難しさ。羅生門、七人の侍を完成させてしまった後の苦悩。そして多くの仕事仲間を見送り日本映画会を憂う。2006年の出版だが2018年に亡くなっている。砂の器他橋本プロ時代の話もあったら読みたい。2019/01/03

hachi_gzk

3
橋本忍の脚本家としての道のりを書いた自叙伝。その道のりには大きな先達となる脚本家の存在があった。師であった伊丹万作、そして共同脚本の相手であった黒澤明、小國英雄。『生きる』『七人の侍』などを世に発表しながらも、その黒澤明の共同脚本体制が崩壊し、著者が黒澤組から離れ、黒澤が低迷していく様を見ていく他なかった。黒澤明という一つの比較対象の上で、自らの用いた脚本術、や映画のあり方について書かれている、一つの映画脚本が出来るまでのとてもスリリングな本になっている。2008/08/09

まさやん80

2
橋本忍は、黒澤映画の脚本を「羅生門」「生きる」「七人の侍」「生きものの記録」「蜘蛛巣城」「隠し砦の三悪人」「どですかでん」と7本も手がけている。この本の中で、橋本さんは「羅生門」から始まり「七人の侍」でその完成を見た共同脚本のやり方を通じて、黒澤映画の成立を解き明かしてくれる。橋本が書き、黒澤がそれを推敲し、小国が全体の方向を決めていく。その役割分担の意味の重さが、脚本作りの手法の変更によりより明らかとなってくる。橋本さんは、「七人の侍」以降の黒澤作品に批判的だが、そうした批判も含めて貴重な文献だと思う。2013/11/19

でおでお

2
黒澤死去以来、その脚本を書く過程については、いくつかの回顧番組で取り上げられたことはあったものの、完全なる密室劇といっていいその執筆プロセスがこれ程まで克明に書かれたものは初めて読んだ。橋本本人が「侍の一日」を図書館で調べまくったように、「脚本家の一日」について何時に起き、朝食に何を食べ、何時から何時まで執筆し、何時に散歩し、何時に風呂に入り、何時に寝るかをきちんと書いてくれたのは貴重な記録だ。2009/07/11

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