内容説明
昭和45年の八百長疑惑、いわゆる「黒い霧事件」で球界を永久追放された西鉄ライオンズの豪腕投手。彼の復権運動に深く関わってきた作家が、すべてを明らかにする。
目次
第1章 黒い霧事件
第2章 追放からの歳月
第3章 不公平処分の検証
第4章 再びの船出
第5章 イケナガという伝説
第6章 過去という壁
第7章 希望の曲折
第8章 こころの罪
著者等紹介
笹倉明[ササクラアキラ]
1948(昭和23)年、兵庫県生まれ。早稲田大学文学部卒業。80年、『海を越えた者たち』(すばる文学賞入選)でデビュー。88年、『漂流裁判』でサントリーミステリー大賞受賞。翌89年、『遠い国からの殺人者』(文芸春秋)で第101回直木賞を受賞する
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スパシーバ@日日是決戦
97
[2015年] 1969年、「黒い霧事件」(八百長に関わったとされた7選手のうち4選手が永久追放処分となった事件)から35年の時を経て復権が叶うまでの、支援者の一人であった著者と池永氏との交流が語られる。1965年に西鉄ライオンズに入団(契約金は5000万円、ジャンボ尾崎は同期入団)し1年目で20勝(新人ではパ・リーグ7人目だが、高卒としては初の快挙)。以後通算5年間で99勝をあげる。ここ数年大相撲やサッカー(海外)でも八百長が発覚しており、プロスポーツに興味を失ってしまった..。2016/07/18
遥かなる想い
79
昭和45年の「黒い霧事件」で球界を永久追放された池永正明投手 復権運動 35年の物語である。昭和の時代のプロ野球界の闇が 丹念に描かれる。 輝かしい球歴から 将来の大投手間違いなしと 思われた逸材が、先輩からなぜ 100万円を 受け取り、返せなかったのか…そして まるで生贄のように 永久追放という 重い処分を課せられたのか? ひどく重い貴重なプロ野球界のノンフィクションだった。2024/09/07
ようはん
14
黒い霧事件で永久追放処分を受けた元西鉄ライオンズの池永正明投手の復権に至るまでの内容。黒い霧事件自体かなり根深く闇の深い内容だとは思うが状況を考えればもっと処分が軽い筈だった池永氏がスケープゴートとして追放された側面があったのはきつい。2020/03/03
YOS1968
6
35年にわたって社会的制裁を受けた池永正明本人の気持ちを察することは難しい。高校を卒業してすぐに一流投手。5年間で99勝、通算最多勝利記録も狙えた逸材。プロ野球界から「永久追放」という一方的に通知したのは、見せしめ以外の意味はない。野球賭博の問題はプロ野球界にとっては深刻なことはよく分かるが、刑事罰にならなかった「疑い」レベルの人物を、永久に後ろ指刺される存在に追い込み、追放したNPBの罪は重い。彼は反論もせず沈黙を続けた。伝統的日本人的な美徳か、それともスポーツマンとしてのプライドなのか。2012/12/31
シュラフ
2
黒い霧事件(1970年)で球界を永久追放された伝説の大投手・池永正明(下関商業~西鉄ライオンズ)。 池永の成績はとにかくすごい。高校時代は2年春に優勝、3年夏に準優勝。そして西鉄入団後の5年で103勝。黒い霧事件さえなければ、どこまで活躍していたのか。 黒い霧事件の真相は、恩義ある先輩に八百長を頼まれた池永が新聞紙にくるまれた100万円を押し付けられてしまったこと。その後、池永は黙して語らず博多のスナックのマスターとして細々と生きる。なぜ池永は真実を語らなかったのか?その真実が当著では明かされる。 2012/05/28