内容説明
それは、9.11のプレリュード(前奏曲)だった。9.11―同時多発テロの前に、タリバンが支配するアフガニスタンにおいて大仏遺跡の破壊が行なわれた。その背後には、ビンラディンとアルカイダの周到な計画があった。バーミアンの大仏破壊に秘められた衝撃の真相とは…。『戦争広告代理店』の著者が放つ、本格ノンフィクション第二弾。
目次
二つの破壊
隠遁者
姿の見えないカリスマ
オサマ・ビンラディン
大仏・第一の危機
オマルの激怒
ビンラディンの贈り物
「アメリカ」の衝撃
ムタワキルの抵抗
アメリカ帰りの新政策
ビンラディンのメッセージ
蜜使
破壊を阻止せよ
アッラー・アクバル
届けられたテープ
大仏は、なぜ破壊されたのか
著者等紹介
高木徹[タカギトオル]
1965年東京都生まれ。1990年東京大学文学部卒。同年、NHKにディレクターとして入局。福岡放送局などを経た後、報道局勤務。NHKスペシャル「民族浄化 ユーゴ・情報戦の内幕」(2000年)、「バーミアン大仏はなぜ破壊されたのか」(2003年)、「情報聖戦アルカイダ 謎のメディア戦略」(2004年)などを担当。著書『戦争広告代理店 情報操作とボスニア紛争』(2002年、講談社刊)で講談社ノンフィクション賞と新潮ドキュメント賞を受賞
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感想・レビュー
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遥かなる想い
193
第36回(2005年)大宅壮一ノンフィクション賞。 2001年3月のバーミヤン大仏破壊、そして 9/11に繋がる経緯を記した本である。 タリバンは世界の文化遺跡をなぜ破壊したのか?それが、9/11にどう繋がっていくのか? 今もなお 止まることのないテロの連鎖 …ソ連軍撤退からの歴史を、オマルと ビンラディンとの因縁を 本書は丹念に語る。 オマルと ビンラディンの対比が 興味深いのだが…今も続くテロの恐怖の始まりを振り返るには ちょうど良い本だった。 2018/06/12
ようはん
17
あの9.11事件の前史とも言うべき内容で破壊されたバーミヤンの破壊された2体の石仏はツインタワーの前哨ともいえる。一時は国際社会に歩み寄りを見せつつあったアフガニスタンのタリバン政権があくまでも外部の人間に過ぎないアルカイダのビンラディンによって豊富な金と物資、そして軍事力の援助により次第に政権の主導権を握られ石仏破壊に至るまでの狂気に染まっていく過程が書かれており、9.11等のテロ以外でのビンラディンという男の恐ろしさを感じた。2020/11/18
James Hayashi
17
一度は訪れてみたいと思っていたバーミアンの仏像遺跡。しかしソ連の侵攻があり、2001年の春、9.11を前に破壊されてしまう。高さ55メートル、1000年以上の歴史がある文化の賜物。この背後にビンラディンとアルカイダの繋がりをNHKのディレクターとしてわかりやすく解説。ムスリム全部が破壊に積極的ではなく、一部の原理主義者の暴走か?ガンダーラとその他の法物が無事であることを望む。2015/01/23
うらじ
8
タリバンがいかにアルカイダに乗っ取られてカルト化したか、その実態がよくわかった。タリバンという連中は国際情勢もわからない世間知らずの田舎者で、人のよさそうなムハンマド・オマル(タリバンのカリスマ)は金持ちでインテリでシティーボーイなビンラディンにいとも簡単に騙されてしまったのである。2014/07/30
くれの
7
イスラムの名を盾に狂人らが9.11と同根の愚行に及んだ経緯が丹念に描かれています。冷戦に蹂躙された貧国はその後の荒廃を国際社会から見捨てられ暴力組織に乗っ取られた末に至った現実は今なお解決に向かっていませんでした。2014/07/07