内容説明
文芸春秋読者賞受賞。未収録原稿を加えたノンフィクションの金字塔。
目次
妻たちと東郷青児
井上中尉夫人「死の餞別」
保険金殺人の母と娘
志賀暁子の「罪と罰」
杉山智恵子の心の国境
チフス饅頭を贈った女医
性の求道者・小倉ミチヨ
桝本セツの反逆的恋愛
初代女性アナ翠川秋子の情死
擬装結婚の愛と真実
さまよえる「ノラ」
日中の懸橋 郭をとみと陶みさを
伝説のなかのプリマドンナ
夫の生還を信ず
小林多喜二への愛
雪の日のテロルの残映
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スノーマン
28
濃かった。女性誰もが多少なりとも抱える闇の部分に、ほんの少しのきっかけで飲み込まれる怖さ。今も昔も強すぎたり流されすぎたりする女性はいるもので、それによりとんでもないことになってしまったりもするけど、今と違うのは戦争という背景。戦地にむかう夫のためにわざわざ自害する妻の話。今だからこそ、えー!と思ったけど、やっぱりその当時の周りの人もえー!やりすぎ!と思ってたんや(笑)それをわざわざ盛り上げて戦意向上につなげてた世相みたいなのがまた怖いなぁ…。2016/01/09
yurari
3
知らなかったおんなとおとこ達の物語。マグマのようなエネルギーを持つ恋愛の数々。「チフス饅頭を贈った女医」が悲しくほろ苦かった。医学博士になるまで援助を続けた女医が、いざ博士を取ったらおとこから冷たくされる…。論文の印刷費に必要と聞き送金した金が、貯金され、学位獲得祝賀会の費用に使われていたり、他の女の影が見え隠れしたりと、こちらまで怒りが湧いてくる。裁判で裁かれたのは女医だが、世間はおとこを非難した。2022/04/03
うえだ
2
ずっと読みたかった本。練馬区立図書館で。渡辺和子の言葉が沁みる。2021/08/28
あきこ
2
知っている人も知らない人も、事件はワイドショーをにぎわす類で現代でも同じことが起こったらかなりショックな出来事だろう。それが昭和の時代にあったこと、というのが驚きだ。この時代の女は勇気があったのだな。まだ自分の意思を簡単に貫けない時代にがんばって自分らしく生き抜いた女たち。またその時代背景も太平洋戦争へと進む暗く自由のない時代だ。なんだか頑張ったんだな、と思った。2014/11/05
出原樹音
1
字が小さい。2018/07/31