内容説明
単行本未収録の『儀式』、『砂漠の十字架』など12の名品。
著者等紹介
沢木耕太郎[サワキコウタロウ]
1947(昭和22)年に東京で生まれる。70年に横浜国立大学経済学部を卒業。入社した会社を一日で退社したあと、若い自衛官たちの実像を鮮やかに描いた処女作「防人のブルース」でいきなりフリーランスのライターとしてデビューし、注目をあびる。以後、ジャンルとして確立していなかったノンフィクションの世界で、テーマやスタイルにおいて絶えず先駆的な実験と冒険を試みつつノンフィクションの新たな可能性を拡げる数々の傑作を世に送りだし、多くの読者を魅了しつづけている。79年に『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞、82年に『一瞬の夏』で新田次郎文学賞、85年に『バーボン・ストリート』で講談社エッセイ賞、93年に『深夜特急第三便』でJTB紀行文学大賞などを受賞した
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感想・レビュー
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団塊シニア
26
野球界からゴルフ界へ転身した尾崎将司、ボクシングの輪島功一との密着取材の攻防など本書は今まで知りえなかったことが詳細に語られてる、筆者の丹念な取材、そして文章の構成の上手さが際立っており読み手を共鳴させるスポーツノンフィクションです。2013/06/12
しーふぉ
14
スポーツノンフィクションの短編を集めた巻。円谷幸吉を描いた長距離ランナーの遺書、大場政夫のジム、コホーネス(肝っ玉)輪島が特に心に残った。2015/05/18
ポン
9
ドランカー〈酔いどれ〉、ジム、コホーネス〈肝っ玉〉 改めて読んでも古びず、刺激的です。文章化することが難しそうなボクシングでここまで読ませる。素晴らしいです。2019/06/24
Chako@(旧名:かど =^ェ^=)
6
著者の言葉を借りるなら──誰にでも最初のヒーローの記憶というものはあると思う。沢木少年にとっての長嶋茂雄であるように。勝負事の裏も表も知り尽くしたヒーローとヒーローになれなかった男たちが愚直に無様に真剣に生き抜いた物語ばかりだ。どんなに素晴らしい栄光で輝いていたとしても必ず負ける日が、身を引く日が来る。ある者は奇行が目立ったり不慮の事故にあったり、奇蹟の復活後に凋落した者、スポーツ界を転々とした者など、人生模様・生きざまが様々あって圧倒される。共通するのは負け方というか引き際をこじらせてる点だ。続く☟2017/07/02
junichi2216
5
沢木耕太郎が、スポーツマンを取材した記録。特に輪島功一。輪島はチャンビオンとしての晩年、若い挑戦者から激しく倒され、チャンビオンベルトを奪われる。しかし、全く不可能と思われた奪還を果す。ボクシングとは、王者とは、勇気とはどのようなものか教えてくれる。単に勝つのではなく、奇跡を起こしてこそ真のチャンピオンになるのだ。そのような見る者の体が震えるような試合は滅多にあるものではない。2013/11/18