出版社内容情報
戦前の日本を呪縛した「尊皇思想」は、徳川幕末の正統性を証明する手続きから生じた。日本思想史の逆説のドラマを描く稀有の論考
内容説明
戦前の日本を呪縛した「尊皇思想」は徳川幕府の正統性を証明する手続きから生じた―日本思想史の逆説のドラマを明らかにした、渾身の力作。
目次
慕夏思想・天皇中国人論と水土論
亡命中国人に発見された楠木正成
日本=中国論の源流
もし孔子が攻めてきたら
国家神道という発想
正統的な儒学者・佐藤直方
偽書のたどった運命
殉忠の思想
政治が宗教になる世界
志士たちの聖書〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
15
この「現人神の創作者たち」というのは、最後の解説で松本健一さんが書いているように山本七平が尊王思想の創作過程において正面から探究しようとした書であるといっています。まさにその通りで、キリスト教の三代目でしかも陸軍に出兵した経験を持つ山本さんでなければ書けなかった本だと思います。昔に書かれた天応批判と天皇の政治責任追及の書がなぜ尊王思想を生み出すに至ったのかをさぐっているうちに、この本が出来上がった、ということです。雑誌連載当時にはかなり右翼からの嫌がらせなどがあったのではないかと推察されます。2014/03/21