出版社内容情報
人物描出の巧み。清洌・多彩な筆に加えた一刷けのユーモア。剣客小説の金字塔というべき「隠し剣」に、「たそがれ清兵衛」を併録する
内容説明
人物描出の巧み。清冽・多彩な筆に加えた一刷けのユーモア。剣客小説の金字塔。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モトラッド@積読本消化中
35
★★★★★ 全集第十六巻には、なっなんと『隠し剣孤影抄』『隠し剣秋風抄』『たそがれ清兵衛』剣客小説の金字塔たるこの三冊の短編が、ギッシリ収められています♪!もう頬ずりしたくなるくらい好き!なかには三読目のものもあったりしますが、全集で読むと重みが違いますね。通勤に持って行けるはずもなく、専ら自宅で読む訳ですが、やはり集中度にも差があるようで、一字一句、噛みしめるような読書となりました。中古で安く入手していますが、さて、全部揃うかしらん。あっ、もちろん、あまねくお薦めします。2019/10/22
星落秋風五丈原
29
『隠し剣孤影抄』「隠し剣」シリーズは冒頭に登場した瓜生新兵衛(「臆病剣松風」)をはじめとして、普段目立たない人、いや、むしろ軽んじられている人達が、いざという時豹変し、絶対不利に思われた戦いを、秘剣を振るって制す面白さが当時人気だった。人の命を奪った刀は血の匂いをまといつかせ、己が人の命を奪った事を、長く忘れさせる事はない。無敵の秘剣を持つ者は、並々ならぬ孤独と苦しみ、そして逃れ得ぬ宿命と、常に戦って生きている。剣客を羨み、そうなりたいと想像する読者達の平穏な日常こそ、実は彼等が渇望してやまぬものである。2016/09/11
ひお
10
鳥刺しの原作見たくて読了。この短編を映画にしようとしたらあの間延びしたのになるなぁと原作の短いながらも濃密な人間描写に感嘆した。2010/08/01
たつや
6
映画「たそがれ清兵衛」の原作。映画は凄く面白かったが、原作も確かで、面白く読める。隠し剣も映画化されている。映画は未見だが、原作はサクッと読めるが面白い。2025/01/21
オールド・ボリシェビク
3
「隠し剣孤影抄」「隠し剣秋風抄」「たそがれ清兵衛」の短編群が収められている。ふだんは目立たない藩士が、いつの間にか政治に巻き込まれ、刀を抜かざるを得なくなる。しかし彼は流派の奥義を極めていて‐という筋立てが続くのだが、飽きることはない。ある時は陰鬱、ある時はユーモアたっぷりの筆致と、藤沢周平のさまざまなバリエーションが楽しめる。何しろ上下2段組み600㌻超えだから、ボリュームたっぷり。藤沢ワールドが堪能できます。2024/11/29