出版社内容情報
闇とほのかな光の中で語られる、愛憎と葛藤、独自の色彩でえがかれた人生絵図。「冬の潮」「暁のひかり」など初期市井小説三十篇
内容説明
藤沢時代小説の全貌。人の世の哀歓と葛藤を独自の色彩で描き、市井小説の新たな世界をつくりだした名品録。本篇はその第2集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モトラッド@積読本消化中
34
★★★★☆ 藤沢先生ならではの“物語上手な”プロット、登場人物の心理描写や情景描写などの筆致が、最も冴えわたる“市井もの短篇”を30篇、収録。既読のものが殆どだが、全集で“通し”で読むと、それぞれの作品が引き立てあって、より味わい深い読後感である。2020/03/28
山内正
6
きりが無いんだから相手になってたら 二度目の中風で意識は戻ったが 身体が動かなく舌はもつれと 母親の言う通りだと それより縁談と道楽息子がどうかと言い出す 今は作次郎と茂太の幼馴染が頭に 茂太は八年も勤め未だ材木置場に 作次郎はもうすぐ手代になる 仕事の帰り茂太に会う 縁談の男等 は誘い茂太が立ち塞がり喧嘩に 橋迄歩ける? 部屋に寝かせ寝言を 行かないでみさちゃんと あの日から作次郎の嫁さんって気持ちが変わった茂ちゃんあたしを好いてくれてたのねやっと気付いた 俺の事なら良いんだ作ちゃんに悪い もういいよ!2021/01/28
山内正
6
路地に素人の新内が心に沁みる 五年前奉公先を終え店を出し 女房貰い子が出来不満は無い 鶴蔵四十を過ぎ客を饗す時自分は相応しくない人間と感じる 酔った女がどうこの男を扱ったらと 戸惑う顔に、何気無く女の指を弄る男に成っていたのかと おこんさん覚えています?店の女が それがねえと話を仕出す 裾継宿で酌婦してると 今晩はと声がし酌をしながら 当てみましょうか鶴蔵さんでしょ 直に解りましたよ 今を恥じない女の自信顔で笑う 翌日金を持って来たと差し出すと 襖が開き岡っ引きが 人殺しの女ですぜと 知らない女がそこに2020/12/28
山内正
6
タバコの煙を吐きながら 巳之吉は帰っちゃいないよと言う 岡っ引きだが仕事はしない 人が消えて探して欲しいと 井沢屋の女将出て二日になる 近くに下駄を買いにと言って出たと あくる日女将が戻ったと知らせが 三日何処に居たのか誰かに会ったね その内何かが始まる 店から男二人が出て話し声がした よく出掛けるし金が入ったのかと 番頭が聞いた 直後に女将さんが出て 橋を渡り長屋の木戸に入った 後をつけ木戸を入った後頭を殴られ 気付くと眼の前に手代が死んでいた 主新兵衛に女将さんが娼婦だったと 脅され女将を貸したね? 2020/12/04
たつや
5
暁のひかり市井小説集二巻。 情景描写が実に素晴らしい。藤沢周平は東北の村で生まれ育ったので、江戸時代に近い暮らしをしていたのだろうか?いずれにしても、貴重な全集だ。ゆっくり読み進めているが、味わい深いので、何巡か楽しめそうだ。2025/01/24
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