出版社内容情報
「平和論に対する疑問」と「國語改良論」への批判は、論壇文壇を震撼させた。その論争の帰結は今日既に明らかである。単行本未収録の金田一京助批判など、全五十四篇
内容説明
昭和29年9月、1年間の外遊を終へて帰朝した著者は、四つの仕事に取掛る。その手始めが、発表後喧の声凄じく挙った「平和論にたいする疑問」である。国語問題の嚆矢となる「漢字恐怖症を排す」、「日本および日本人」「人間・この劇的なるもの」等全55篇。
目次
平和論にたいする疑問
平和論と民衆の心理
漢字恐怖症を排す
国語問題と国民の熱意
「国語改良論」に再考をうながす
金田一老のかなづかひ論を憐む
性的好奇心について
旅情
喧嘩を吹つかけられた話
日本の金
エリオット会見記
怖いニュース解説
与論を強ひる新聞
氷山の頭だけの報道
人間・この劇的なるもの〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
弥勒
11
福田恆存の思想の根底にはつねに「全体と部分」がある。つまり、彼の文化観や恋愛についての考への底に「全体と部分」なについての強烈な意識があるのだ。最近ではわたしの考へのうちにもこの意識が介在してゐるのを感じて、心地よく思ふときもあるが、同時に福田恆存の存在にたいして恐怖してもゐる。彼の考へが正しく思はれるほどに、私は彼に逆らえぬ気がするのだ。もちろん、無理して逆らふ必要はまつたくないのだが、彼の意見に寄りすぎて視野が狭くなることを怖れる。彼は私にとつて人生の師範であると同時に最大の壁なのかもしれない。2016/06/13