出版社内容情報
夢か現実か、静かに透き通った迷宮にも似た世界で繰り広げられる不思議な出来事。小川洋子の世界のエッセンスを味わう短篇五作収録。
内容説明
静けさをたたえた世界の美しさ。文学の入り口に立つ若い読者に向けた自選アンソロジー。
著者等紹介
小川洋子[オガワヨウコ]
1962年、岡山県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸専攻卒業。88年、「揚羽蝶が壊れる時」で第7回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。91年、「妊娠カレンダー」で第104回芥川賞を受賞。2004年、『博士の愛した数式』で読売文学賞、第1回本屋大賞を受賞。同年、『ブラフマンの埋葬』で第32回泉鏡花文学賞を受賞。2006年、『ミーナの行進』で第42回谷崎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
150
現代文学者の作品を小学校高学年から中学生用に作者ごとにいくつかの作品を集めたものなのでしょうか?大きな文字でルビもふってありわたしのような年寄りにはありがたいのですが。ただ内容的にはいろいろあるのでしょうが、結構子供には難しいようなものが小川さんの作品(5作品)には多いような気がしました。私も読んだものがあったりしましたが、このような単行本でゆったりした気分で読むのもいいですね。ほかの作者のも読みたくなりました。2016/06/12
げんちゃん
92
初めての文学シリーズ2冊目!今月最初の読んだ本です!小川洋子さんの作品は初めてだけど、文章一つ一つに温かみがあり読んでいるとリラックス出来る文章でした。私も小川さんのように本は私に幸せな時間をくれる大切なものだと感じました。ほかの作品も読みたいです!2019/02/08
風眠
86
中1の時『ジェーン・エア』を読んで、官能的とはこういう事なのかと大人の秘密にドキドキした。「文学の入り口に立つ若い読者へ」という趣旨で編纂されたシリーズ・小川洋子編。あの頃の私がこの本に出会っていたらきっと、同じように「大人の秘密」にドキドキして、後ろめたいような気持ちになっただろう。小川洋子は、残酷さや官能というものをレースを編むように描く作家だ。繊細で美しい品のある文章で、人間の持つグロテスクな感情を表現する。夢とも現ともつかない独自の世界観は「はじめての文学」に相応しい後ろめたさを連れて来るだろう。2016/05/29
chimako
59
『冷めない紅茶』『薬指の標本』 『ギブスを売る人』『キリコさん の失敗』『バックストローク』の 5編集録。『冷めない紅茶』以外 は既読。だが、再読でも新しい。 キリコさんもバックストロークも 読んで間もないが、同じ様に微笑 んで同じ様に胸が痛む。キリコさ んの佇まいが好きだし、弟の腕を さすってあげたくなる。小川さん の作品の主人公たちは、どこか少 しだけ欠落した部分がありそれが その人を形成する大切なエッセン スとなる。その中にあってキリコ さんのおおらかさと豊さは読み手の気持ちを程よく慰めてくれる。2015/03/19
ちえ
50
図書館の児童書棚で見つけたシリーズ。現代の日本作家十二名が、若者向けに自選した中短篇アンソロジー。どの作家にしようか悩み、最近読んでいる小川洋子さんを選んだ。「冷めない紅茶」「薬指の標本」「ギブスを売る人」「キリコさんの失敗」「バックストローク」の五作。濃いなぁ。読み終わってどっぷり小川洋子ワールドに浸った。特に「ギブスを売る人」「キリコさんの失敗」の二作が好き。このシリーズ、他の作家のも読みたい。2020/01/25