内容説明
文学の入り口に立つ若い読者へ向けた自選アンソロジー。少年の輝きと青春の哀歓を描く。
著者等紹介
宮本輝[ミヤモトテル]
1947年、兵庫県生まれ。追手門学院大学文学部卒業。1977年、「泥の河」で第13回太宰治賞、78年「螢川」で第78回芥川賞を受賞。87年には『優駿』で第21回吉川英治文学賞を受ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
レモングラス
103
読メで「はじめての文学」に宮本輝さんもあることを知りました。あとがきの一文「それぞれの人間が、みなそれぞれの心に襞を持っている。‥中略‥美しいもの、哀しいもの、醜いもの、崇高なもの、下劣なもの、‥。それらを、人間は誰もが等しく持っている。しかし人間は清潔でなければならない。潔くなければならない。卑怯であってはならない」」に惹かれて読み、読んでいる間も読了した今も、充実感に包まれ、生き返るような活力をいただきました。「星々の悲しみ」「トマトの話」「力」「五千回の生死」など、何度となく読み返すことと思います。2021/10/27
優希
80
昭和の匂いの強い短編集でした。少しごちゃっとした阪神の風景が目の前に見えるようです。青春の輝きというものがありありと表現されていますが、雰囲気が好きかというとどうかわかりません。2018/09/08
たつや
57
最近、宮本輝に興味が出てきて、既に読了の本以外を見ていて、見つけた本書は短編集でした。シリーズ化されており、全12巻で、村上春樹や重松清ら、そうそうたるメンバーがラインナップされているので、他の本も気になる。本書は1990年代に書かれた短編で時代を感じるが、「道に舞う」は北朝鮮やバラックなど、現代ではあり得ない?ものが描かれ、美しい文章でストレートに異世界に誘われた気分です。宮本さんはフラッとはじめて入った定食屋がメチャクチャ旨かった感じににてますね。行列もできてないけど、旨いと言う。2016/12/23
ぽてち
33
熱気、砂埃、生臭さを感じさせる世界を覗き見したような。登場人物に「何見てるんだよ」とでも言われたようなどきっと感。『星々の悲しみ』は中でも青春寄り。2020/07/26
抹茶モナカ
24
宮本輝さんの作品集。やたらと親の金銭問題に左右される青少年が出て来る。宮本輝と言えば、安っぽい綺麗な青春小説のイメージが個人的にあって、このアンソロジーを読んで、それが思い込みだったのがわかる。オーソドックスな昭和の匂いのする短編小説集。意外に生活感たっぷり、って感じの。2016/07/30