内容説明
究極の回文五十音かるた。
目次
アリバイが苦いバリア
伊良部、縞柄が増し、無頼
浦和で蒔いた、ははは、と母は大麻で笑う
A型がええ
おかしな梨顔
硬め、ためしに〆めたメダカ
記号はしるし、しるしは動き
管を抜いた。ついに逝った犬を抱く
今朝は、薬でリスクは避け
心はマルクス、車はロココ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
98
この本は、そのあまりのくだらなさ故に(ごめんなさい。でも、作者自身も半分くらいはそう思っているはず)、増刷されなかったのだろうか。村上春樹の本にしては読メの登録が132しかない。タイトルだけではなく、計44の回文と、ショート・ショートエッセイまたはストーリーからなる。ストレートなものもなくはないが、全体にはワザと珍妙なものを考え出したという感じだ。「てんぐのぐんて」―これは極めて素直な部類。きっと案につまったのだろう。でも、『長靴をはいた猫』みたいに、軍手しか相続できなかった3男こそが成功するかも。2012/12/03
キク
72
村上春樹が2000年のお正月に考えた回文が、50音順に44個。全てに友沢ミミヨのイラストと、村上春樹の超短編がついていて素敵です。「お前は村上春樹ならなんでもいいのかよ!」と言われそうですが、はい、村上春樹ならなんでもいいです。好きなのが「こころはまるくすくるまはろここ【心はマルクス、車はロココ】」と「そうよわたししたわようそ【そうよ、私したわよ。、、嘘】」「みたかのいなかつつみにみつつかないのかたみ【三鷹の田舎、包みに三つ、家内の形見】」です。この回文にどんな超短編がついたか気になった方はぜひ一読を!2023/02/08
ムッネニーク
71
92冊目『またたび浴びたタマ』(村上春樹 文、友沢ミミヨ 画、2000年8月、文藝春秋) 村上春樹流回文かるた。かなりヘンテコな回文とそれにまつわるエッセイが、50音全てに用意されている。中にはかなり無理やりなものもあるが、それも含めて楽しめる。 ジム・オルークのジャケット写真などで知られる友沢の描くビザールなイラストが、本書の珍奇さをより際立たせている。 肩の力を抜いて読めるので、村上春樹入門としては悪くないのかもしれない。…色々と誤解されそうだが。 〈妻、スローめのメロス待つ〉 2024/07/10
けぴ
52
「記号はしるし、しるしは動き」「心はマルクス、車はロココ」「西でリヤ王、大槍で死に」「濡れ衣、着れぬ」「返金から、裏換金へ」「レオはレオ、俺は俺」五十音の回文が並びます。最初はひらがなで書いてあるので、どんな意味の回文なのか考えるのも面白かった。例えば「りんしのまつくだくつまのしんり」???⇒「臨死のマック抱く、妻の心理」壊れたマッキントッシュPCを抱いている妻の絵が解説されます。暇な4連休にピッタリでした(^^;)2020/09/22
キジネコ
52
仕事人間(本人曰く)の春樹さん、一念発起して仕事なんかするもんか!と決意した正月、PCに向かわない日々の禁断症状?を埋め合わせんとして斯様な本が生み出された・・と述懐されております。文藝春秋です、しっかりと文は村上春樹と表記されています。大陸で拵えられたバッタモンじゃ?ないよなと目を皿の様にして読んじゃいました。にしても訳の解らん回分と言い訳がましく(すみません)添えられたユル~イ文章が、あのその・・ツボにハマってクックックと笑ってしまいます。都会的洗練や世界的名声やノーベル賞候補的権威のイメージ 続く☛2015/08/12