内容説明
究極の回文五十音かるた。
目次
アリバイが苦いバリア
伊良部、縞柄が増し、無頼
浦和で蒔いた、ははは、と母は大麻で笑う
A型がええ
おかしな梨顔
硬め、ためしに〆めたメダカ
記号はしるし、しるしは動き
管を抜いた。ついに逝った犬を抱く
今朝は、薬でリスクは避け
心はマルクス、車はロココ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
95
この本は、そのあまりのくだらなさ故に(ごめんなさい。でも、作者自身も半分くらいはそう思っているはず)、増刷されなかったのだろうか。村上春樹の本にしては読メの登録が132しかない。タイトルだけではなく、計44の回文と、ショート・ショートエッセイまたはストーリーからなる。ストレートなものもなくはないが、全体にはワザと珍妙なものを考え出したという感じだ。「てんぐのぐんて」―これは極めて素直な部類。きっと案につまったのだろう。でも、『長靴をはいた猫』みたいに、軍手しか相続できなかった3男こそが成功するかも。2012/12/03
キク
72
村上春樹が2000年のお正月に考えた回文が、50音順に44個。全てに友沢ミミヨのイラストと、村上春樹の超短編がついていて素敵です。「お前は村上春樹ならなんでもいいのかよ!」と言われそうですが、はい、村上春樹ならなんでもいいです。好きなのが「こころはまるくすくるまはろここ【心はマルクス、車はロココ】」と「そうよわたししたわようそ【そうよ、私したわよ。、、嘘】」「みたかのいなかつつみにみつつかないのかたみ【三鷹の田舎、包みに三つ、家内の形見】」です。この回文にどんな超短編がついたか気になった方はぜひ一読を!2023/02/08
けぴ
52
「記号はしるし、しるしは動き」「心はマルクス、車はロココ」「西でリヤ王、大槍で死に」「濡れ衣、着れぬ」「返金から、裏換金へ」「レオはレオ、俺は俺」五十音の回文が並びます。最初はひらがなで書いてあるので、どんな意味の回文なのか考えるのも面白かった。例えば「りんしのまつくだくつまのしんり」???⇒「臨死のマック抱く、妻の心理」壊れたマッキントッシュPCを抱いている妻の絵が解説されます。暇な4連休にピッタリでした(^^;)2020/09/22
キジネコ
52
仕事人間(本人曰く)の春樹さん、一念発起して仕事なんかするもんか!と決意した正月、PCに向かわない日々の禁断症状?を埋め合わせんとして斯様な本が生み出された・・と述懐されております。文藝春秋です、しっかりと文は村上春樹と表記されています。大陸で拵えられたバッタモンじゃ?ないよなと目を皿の様にして読んじゃいました。にしても訳の解らん回分と言い訳がましく(すみません)添えられたユル~イ文章が、あのその・・ツボにハマってクックックと笑ってしまいます。都会的洗練や世界的名声やノーベル賞候補的権威のイメージ 続く☛2015/08/12
わんちゃん
48
なんか果てしなくユルい本。ナンセンス!?な回文とその解説が大集合。はじめにひらがなの文が登場。例えば「ええがたがええ」。このひらがなの並びを睨み付けて変換を必死に考える。だめだ。思い付かない。我慢しきれず正解を見る。「A型がええ」だなんて、その漢字を当てはめるんか!と悔しい。次の回文にも挑む。しかしひらめかない。想像力、無。ページをめくり正解を目にする。そこで区切るんか!とのけぞる。この繰り返し。不思議なものだが脳内ゆるゆるリフレッシュ。気分転換も兼ねて再読しよう。気分転換に?いや違う。これは闘いだ!2019/02/21