出版社内容情報
天皇に後継首相として東条英機を推薦したのは木戸幸一だった。晩年に至り木戸は「あの決断は正しかった」とつぶやく。その真意は?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
筑紫の國造
9
内大臣木戸幸一を中心とした昭和史。ところどころに木戸へのインタビューが差し込まれており、しゃべり言葉による人間的な木戸像も浮かび上がってくる。特に終戦工作〜東京裁判あたりが見どころだろう。天皇の側近から見る昭和史は、なかなか生々しい。史料の中心はやはり『木戸幸一日記』で、全体としては過不足のない昭和史といったところだろうか。時代的に仕方がないかもしれないが、少し古い&今では別の見解が主流となっているような箇所もおる。木戸のインタビューは人間性がよくわかるもので、面白い。2023/03/15
こまったまこ
5
本書は戦時中の内大臣木戸幸一の足跡を辿りながら戦前から戦後にかけての日本を検証している。昭和5年に内閣書記官長になってから常に日本の中枢にあって激動の昭和をつぶさに見ている。木戸幸一のインタビューが所々挿入されており、本人の談はやはり面白い。内大臣は天皇の「常侍輔弼」の職でありかなり権力があった。近衛文麿は親友かと思っていたが厳しい事を言っている。また陸軍、特に武藤章が槍玉に上がっており強硬な主戦論者として非難している。開戦までの道程と、終戦工作が内大臣からの視点で他と違っていたので興味深かった。2016/04/26