『きけわだつみのこえ』の戦後史

『きけわだつみのこえ』の戦後史

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  • サイズ B6判/ページ数 267p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163555300
  • NDC分類 916
  • Cコード C0095

出版社内容情報

根拠無き改訂、恣意的な削除……。戦没学生の遺稿集には、不可解な部分が少なくない。彼らの遺志は、いかに次世代に継承されるべきか

内容説明

遺族の手から奪いとられ「政治の道具」となり果てた『きけわだつみのこえ』。戦没学徒の静かな叫びを次代にどう伝えるか。1995年12月に刊行された岩波文庫新版『きけわだつみのこえ』は、「決定版」とうたいながらも、それとは程遠い杜撰な内容であった。歴史的遺産として継承されなければならない戦没者の遺稿集を、誰が、何故、そのようなものに変えてしまったのか。『きけわだつみのこえ』と「わだつみ会」の戦後を追っていくと、戦没学徒の遺族や友人たちの素朴な哀悼の心を踏みにじる動きが、さまざまな形であったことが分かる。その「総決算」が岩波文庫の新版であったと言ってよい。

目次

序章 戦没学徒と私―40年前、感動した私は戦場に散った学徒をモチーフにした創作劇を書いた
第1章 『きけわだつみのこえ』の誕生―学業半ばで死んだ息子、兄弟、友人の霊を慰めたいという初心に早くも政治の影が
第2章 バイブルへの道―安保闘争のなかで『きけわだつみのこえ』は反戦を叫ぶ若者たちの「聖典」になった
第3章 倒された「わだつみ像」―既成秩序の破壊を叫ぶ学生たちは、学園に立つ知性と平和の象徴をひきずりおろした
第4章 「反天皇制」の中で―わだつみ会は昭和天皇の戦争責任を問う声を大きくあげることで会員を増やしていく
第5章 戦没学徒の「戦争責任」―一部会員たちは死んだ学徒にも戦争責任があると言い張り遺族たちを怒り悲しませた
第6章 追放された遺族―「わだつみ」を支えつづけた人々を「インテリ」たちが陰険なやりくちで追い出した
第7章 わだつみ学徒、五十年後の「死」―岩波文庫に収録された「新版」は戦没学徒の遺志を踏みにじる欠陥だらけのものだった
終章 次代にとっての「わだつみ」―私が初めて読んでから40年の歳月が流れた。現代の若い世代は「わだつみ」をどう見る

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆうぼう

2
公平に左つばさくんも読まなくてはと思い読んでみた。ここまでねつ造された文書もないのでは?本当の思いはどこにあったのか?その根っことなる会が第一次から第四次まで継続し今も存続していることにも驚きを隠せない。亡くなられた方の本意はどうだったのだろう?そえが学徒だから他の英霊の方々とは違うなどということがあってはならない。非常に残念。2015/08/21

かんたろう

1
初めて「きけわだつみのこえ」を読んだときは戦没学生たちの手記がそのまま掲載されていることを疑いもしなかったが、実は出版時に当時の世相やGHQを意識して恣意的に編集されていたことを知ってちょっとショックを受けた。その後も当時の社会・政治情勢を反映して「わだつみ会」の性格が変わっていくごとに「きけわだつみのこえ」の内容も微妙に変化していったという。「わだつみ会」の内紛等については筆者と当事者のどちらが正しいのかわからないが、「きけわだつみのこえ」の背景にはこのようなことがあることは知っておいて良いと思う。2011/01/10

珍文庫

0
左翼運動のダメな部分がたっぷり書いてある。おすすめ。2013/09/14

kikizo

0
「きけ わだつみのこえ」の解説かと思いきや、「わたつみ会」内紛の内幕を暴いた(?)ような内容だった。戦没した学徒兵の真実の声が書かれているものとばっかり思っていたが、版を改めるごとに、真実から遠ざかっていったようだ。読者が知りたいのは、戦地に向かった一兵卒がどんな思いで散っていったのかだと思う。それを都合のいいように編集している事実を見て腹立たしくも思った。2021/04/03

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